マツダ技報 2022 No.39
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―103―2. CTSの概要FR VCM FSC Object CAN Detection Multi Sensor Fusion Object CAN Detection Lane Marker Detection CAN Leading Vehicle Selection Acceleration Vehicle Motion Control Path Planning Deceleration Steering Control Electronic Power Assist Steering PCM DSC Control Control 2.1 システムの機能 CTSは高速道路や自動車専用道路走行時の運転負担軽減を目的とし,以下の追従走行機能とステアリングアシスト機能で構成される。(1)追従走行機能 前走車がいない,もしくは前走車との車間距離が遠い場合は,ドライバーが設定した車速で定速走行を行う。また,自車より遅い前走車を検出すると,前走車の速度に応じて,パワートレイン及びブレーキによる減速制御を行い前走車との車頭距離を維持する。前走車がいなくなった場合は,設定車速まで加速し,定速走行を行う。(2)ステアリングアシスト機能 システムが車線を検知している場合は,検知した車線に沿った走行をステアリングアシスト制御によってサポートする。システムが車線を検知できない場合は,追従走行している前走車の走行軌跡に沿った走行をアシストする。2.2 システムの構成 車両運動制御に関わる領域のCTSのシステム構成をFig. 1に示す。Fig. 1 Summary of CTS System ArchitectureFig. 2 Center Traceability for Deviation3.2 CTS制御中のドライバー操舵特性 「操作性(自己主体感)」の実現へ向けて,CTS制御を理解しつつ,ドライバーの意図どおりに車両をコントロール可能なドライバー操舵特性の実現を目指した。 一般に制御の目標追従性を高め,センタートレース性を向上させる場合,自車走行位置と車線中央との偏差にFig. 3 Center Traceability for Stability クルージング&トラフィック・サポート(CTS)は,その技術群の1つであり,高速道路や自動車専用道路走行時の運転負担軽減を目的とし,加減速アシスト制御による前走車に対する追従走行機能と,車線に沿った走行,及び前走車の走行軌跡に沿った走行をアシストするステアリングアシスト機能で構成されるシステムである。CTSは2019年MAZDA3(1)から市場導入を開始し,CX30(2),MX30(3)など各車に搭載している。 CX60では,「安心で疲れないCTS」を目標に掲げ,ステアリングアシスト機能では,「センタートレース性」と,ドライバー走行時と一致性の高い「CTS制御中のドライバー操舵特性」の両立に取り組んだ。本稿では,ステアリングアシスト機能の開発経緯と採用した技術について紹介する。 周辺環境認識センサーであるフロント・レーダー(FR),及びフォワード・センシング・カメラ(FSC),それらのセンサーの情報を統合,前走車や走行軌跡の判断,加減速やステアリング制御指令値を演算するビークル・コントロール・モジュール(VCM),駆動力を制御するパワートレイン・コントロール・モジュール(PCM),制動力を制御するダイナミック・スタビリティ・コントロール(DSC)ユニット,操舵アシストトルクを制御する電動パワーステアリングユニットで構成される。各ユニットはCAN (Controller Area Network) で接続される。3. ステアリングアシスト機能開発のねらい 「人間中心」の考え方で,走る/曲がる/止まる全ての支援において,「安心で疲れないCTS」を目指した。特に,人の感覚に合うように,CTS制御中でも➀ベテランドライバーが運転しているような「安心感&快適性」と,➁自分の思いどおりにクルマを操作できる「操作性(自己主体感)」の実現をねらいとした。3.1 センタートレース性 「安心感&快適性」の実現へ向けて,車線中央を精度良く,かつ滑らかな操舵で維持できるCTS制御を目標とした。例えば,Fig. 2のように,カーブを走行するシーンにおいて,青線のようにカーブ外側に膨らみながら走行すると,ドライバー,及び同乗者は車線逸脱のリスクを感じ,安心感が損なわれてしまう。赤線のように高い精度で車線中央を走行すると,車線から逸脱するリスクを最小化し,安心感を最大化することができる。 また,上記の走行軌跡において,カーブ中に舵角の修正が極小となる制御とすることで,滑らかな車両挙動を実現し,乗員の快適性確保を開発のねらいとした(Fig. 3 赤線)。

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