マツダ技報 2022 No.39
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l legna gnireetSegna gnireetS―104―4. センタートレース性の開発Under CTS control Out of CTS control Control4.1 技術課題 開発のねらいであるセンタートレース性を実現するためには,ベテランドライバーの運転と同等の技量を持ったCTS制御を実現する必要があり,以下ポイントを定めた。➀ ベテランドライバーは通常,刻々と変化する交通環境を先読みし,横加速度が少なく,ふらつきのない走行軌跡を設定し,滑らかな運転を実現している。➁ ベテランドライバーは「ハンドルにドライバー自身の操舵トルクを伝えてから,自車の走行軌跡が変化するまで」の応答特性を考慮し,最適な操舵量と操舵タイミングを判断することで,不必要な修正操舵を排除し,快適性を向上している。 つまり,CTS制御において「➀周辺交通状況と,➁自車の運動特性に応じて最適な制御量を算出する最適操舵制御技術」を開発することが課題である。4.2 技術施策 この課題を達成する施策として,モデル予測制御を採用した。この制御手法を用いて,自車の運動モデルに基づく状態方程式と,自車の挙動に対する評価式を定義することにより,最適な制御指令を算出する。この手法は以下の利点がある。➀ 将来を先読みした行動予測から,現在の最適な挙動を算出可能である。➁ 自車の運動モデルを内包することで,自車の運動特性に即した予測が可能である。 自車の運動モデルをFig. 7,使用する変数,パラメーターをTable 1に示す。Fig. 4 Assumed Scene of Driver SteeringSteering torque Fig. 5 Steering Characteristic that Prioritizes CTS Steering torque Fig. 6 Target Steering Characteristic① ② ③ Under CTS control Out of CTS control 応じたCTS制御量が増加する。その背反としてCTS制御中にドライバーが意図して車線中央から離れる際,少しの偏差でもCTS制御量が大きいため,それに抗うような過大な操舵感が必要となり,車線中央に近づく際は,CTS制御が車線中央に戻そうと操舵するため,ドライバーは操舵感を得にくい状態となり,マツダが目指す操舵特性が失われてしまう。 CTS制御中に隣接車線の車両との距離を確保するために,ドライバー操舵により車線内で隣接車線と反対側に寄って,走行するシーン(Fig. 4)を例に,ねらいとする「CTS制御中のドライバー操舵特性」について説明 する。 ドライバー操舵特性は,Fig. 5,6のようなドライバーの操舵トルクと操舵角のリサージュ曲線で表現する。Fig. 5は,CTS制御を優先し,ドライバー走行時の操舵特性と大きく乖離のある特性を示す。Fig. 6は,ドライバー走行時とCTS制御時で一致性の高い操舵特性を示し,マツダはFig. 6の特性をねらった。 実現に向けて,CTS非制御時のリサージュ曲線(グレー)を基準に,CTS制御時のリサージュ曲線の理想形を下記➀~➂の特性にて定義した。➀ 操舵の“切り込み”時の中央以降は,舵角の増加量と操舵トルクの増加量が一定比で変化すること。これにより,ドライバー操舵時に,リニアでスムーズな操舵フィールと車両挙動のコントロールを行うことができる。➁ 操舵の“切り込み”時と“切り戻し”時の操舵トルクに幅を持たせること。これにより,操舵の“切り込み”から“切り戻し”へ変化する際,操舵(反)力の急変を抑え,滑らかで一定した操作感を確保することができる。➂ “切り戻し”操舵時の中央付近通過時も所定の操舵トルクを持たせること。これにより,舵角ゼロ点付近でもドライバーに対しステアリングの操舵感を残すことができる。

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