マツダ技報 2022 No.39
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o euqrot gnireetS tnuoma l revird f tnuoma lortnoCortnoC CX60では「人間中心」の考え方の基づき, CTSの「安心感&快適性」,及び「操作性(自己主体感)」の向上に取り組んだ開発経緯と,採用技術を紹介した。2章ではCTSの概要,3章ではステアリングアシスト機能のねらいを説明し,4章ではセンタートレース性の開発,5章では,システム制御中のドライバー操舵特性の開発経緯,採用技術について述べた。(1) 別府ほか:新型MAZDA3の紹介,マツダ技報,(2) 佐賀ほか:MAZDA CX30 の紹介,マツダ技報,(3) 竹内ほか:MX30 の紹介,マツダ技報,No.38,―107―6. おわりにRate limit control Time Under CTS control Out of CTS control Steering angle 5.3 結果 CX60の実車テスト結果をFig. 13に示す。ドライバー走行時のドライバー操舵特性と,CTS制御時のドライバー操舵特性が近しい特性を示すことがわかる。つまり,ねらいである3つのポイントを実現できており,「操作性(自己主体感)」のあるCTSを開発できたと考える。Fig. 13 Test Result of Steering Characteristics Under/Fig. 11 Steering Assist Reduction Control with Steering Torque Change Rate5.2 ドライバー切り戻し操舵時の制御 ドライバー切り戻し操舵時のシステムとドライバーの操舵親和性のねらいは3.2節に記載した Fig. 6の➁及び➂である。➁の切り戻し時の幅を持たせるため,切り込み時に減少させたCTS制御量をドライバー操舵トルクに応じてすぐに復帰させず,復帰速度をコントロールする制御を開発した(Fig. 12)。また,➂のステアリングの操作感を持たせるため,車線中央を外れようとする操舵であるか,車線中央に戻ろうとする操舵かによって,CTS制御量をコントロール可能な制御を開発した。この2つの制御により,ドライバーが車線中央に戻るための切り戻し操舵時に,余計なアシストをしてしまい,ドライバーの思った以上に操舵され,無駄なアシストに感じる「引っぱられ感」や,車線中央に戻ろうとするがCTS制御に抗って操舵しなければならない「抵抗感」のバランスがとれるようになった。Fig. 12 Steering Assist Return Speed ControlOut of CTS Control 上記より, Fig. 11のように操舵トルクと操舵トルク変化率情報を用いてCTS制御量を減少させる制御を開発した。そして,操舵トルク変化率を用いたCTS制御減少量の調整により,ドライバーの意図,無意図の操舵を切り分け,しっかりセンタートレースしつつ,ドライバーが意図する操舵の場合にドライバーの意図どおりに操舵可能な性能を達成できた。参考文献No.36,pp.3-10(2019)No.37,pp.3-6(2020)pp.9-12(2021)

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