マツダ技報 2022 No.39
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(3)ADD表示のグルーピング 表示のグルーピングとは,同種の情報は近接して配置し,情報を一つの塊として見える状態にすることである。 CX60のADDでは,表示エリアのグルーピングを3分割して考えた。具体的なグルーピングは,車線情報やターン・バイ・ターンなどの「ナビ情報」,MRCCやCTSなどの「運転支援システム情報」,車速標識情報や実車速表示などの「車速関連情報」の3つのグループとした。グルーピングの具体的な表示をFig. 6に示す。このグルーピングしたグループ内での表示は近付けて表示し,各グループ間の表示距離は離して表示することで,ユーザーはより明確にグループを認知できる状態にした。このようなグルーピングによって,ユーザーは情報の配置の学習が容易となり,画面内から欲しい情報を探索する時間を削減できる。―124―Fig. 6 Grouping in Case of ADAS Information Mode(4)表示サイズ 拡大した表示面積を活用し,ADDの表示認知性/瞬読性を向上させるために,各情報の表示サイズも検証した。 車速やナビゲーションの文字情報は,個々人の多様性対応の1つとして幅広い年齢のお客様に運転を楽しんでいただけるよう,平均的な80歳の視力でも読み取りが可能なサイズを�JIS S 0032”(1)を参考にして策定した。これはスモール商品群と比較して,文字サイズ比で15%から50%程度拡大している。また,ADASの検知及び制御状態を示すグラフィックも従来から大幅にサイズを拡大することで,ADDを注視しなくとも制御の変化に気が付きやすくした。この文字サイズに関する実際の比較図をFig. 7に示す。Fig. 7 Compare Conventional Models and CX60 on 2.2 フル液晶メーター(1)メーターの進化について スモール商品群までのメーターは,7inch液晶を中央に搭載し,それ以外の領域は,アナログ針でタコメーFont SizeFig. 8 Normal Mode of Full Display Meter ClusterFig. 9 ADAS Information Mode of Full Display Meter  もう1つのADAS情報画面は,タコメーターや残燃料表示を縮小しつつ,中心に自車を取り囲む環境を3次元的に大きく表現し,クルマが検知している物標や車両の制御状態をリアルタイムに表示する(Fig. 9)。これにより,ドライバーは車速制御やステアリング制御などの介入状態を直感的に認知できるだけでなく,クルマが自車周辺の何を検知しているのかを,直感的かつ客観的に認識することができ,その後の車両挙動をドライバーが予測できるようになる。これには,システムへの安心感を向上させるねらいがある。更にADAS情報画面では,制御状態の変化を直感的に理解できる表現にも注力した。具体的には,運転支援システムのON/OFFに応じて,メーターに表示されるオブジェクトに色の変化を与えている。例えば,センサーが先行車や車線を検知している場合は,3D空間に「白色」で車線を描画する。また,車両が車速やステリングを制御している場合は車線の内側を「緑色」で表現する。また,各描画オブジェクトの表示面積を大きくとることで,前方注視中のドライバーでも検知状態や制御状態の変化を検知しやすい表現とした。これで,ドライバーが予期しない制御介入や制御停止のClusterターや残燃料表示などを行っていた。CX60のメーターでは,表現の自由度を向上させるために12.3inchの大型液晶(以下,フル液晶メーター)を採用し,メーター表示面の大部分を液晶表示とした。本項目では,このフル液晶メーター化により進化したHMIについて紹介する。(2)フル液晶メーターの表示モード フル液晶メーターの表示は,大きく分類して通常モードとADAS情報画面の2種類を搭載している。通常モードとは,7inch液晶メーターと同等の表示を液晶上で模擬しており,左にタコメーター,中央にスピードメーター,右に水温・残燃料表示をもつ3眼表示である(Fig. 8)。

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