マツダ技報 2022 No.39
134/275

(4-2)オフロードモード オフロードモードでは,未舗装の悪路をたくましく走り抜ける力強さを感じられるように,褐色とグレーをキーカラーとしている。また,凹凸のある表現をすることで,より一層オフロードを直感で感じられるデザインとした。このオフロードモードでは,目標物のない荒野を走行すると想定し,自車が走行している方角を示すコンパスを画面中央に表示している。このようにオフロードモードは,車両がアクティブに走破するイメージを感じとれるHMIとして開発した。Fig. 13にオフロードモードの表示を示す。―125―Fig. 10 Default Font SizeFig. 11 Large Font Size(4)Mazda Intelligent Drive Selectの進化 CX50より導入したMazda Intelligent Drive Select(以下,Mi-Drive)(2)は,運転環境に応じて最適な車両制御を提供するシステムである。CX60では,従来のノーマルモード,スポーツモード,オフロードモード,トーイングモードに加え,EVモードを搭載し最大5つのモードをもつ(ただし,パワートレインによって搭載していないモードあり)。フル液晶メーターのMi-Driveでは,向上した表現の自由度を最大限に活かし各モードともモードの切り替わりを一目でわかる表示にすることで認知性/瞬読性を向上させた。更に,スポーティな運転が求められるスポーツモードではタコメーターを表示する等,各モードそれぞれに求められる表示へ自動で切り替えるFig. 12 Mi-Drive (SPORT MODE)Fig. 13 Mi-Drive (OFFROAD MODE)発生リスクを低減し,車両の制御状態を正しく把握しながら適切に周囲の危険に注意を配分することができる。また,ドライバーが運転支援システムをONにした際には自動でADAS情報画面に切り替わるため,ドライバーが自ら最適な表示モードを選択する手間を省く環境最適を実現することで,より運転に集中できる状態にした。(3)文字サイズのカスタマイズ フル液晶メーターで表示するデフォルトの文字サイズは,新世代スモール商品群のサイズを踏襲している。これは,情報と余白のバランスがよいことで,平均的な視力保有者にとって最も認知性の良いサイズと考えている。この表示の具体例をFig. 10に示す。今までのメーターでは,この1サイズのみであったが,CX60では更に高齢者などメーターを視認する際に焦点調整が困難なドライバーでも,ストレスを感じにくいよう文字サイズを拡大したモードの選択を可能とした。このモードでは,一部単位などの走行中に読み取る必要のない情報を除き,メーター上の文字サイズを30~40%程度拡大することで,一般的な80歳の視覚特性でも容易に視認できる文字サイズとした。この表示の具体例をFig. 11に示す。事で環境最適を図った。また本機能は,「心のスイッチを切り替える」をコンセプトに開発を行い,ドライバビリティを想起させるアピアランスを付与することで,機能性のみならずクルマの所有感や運転体験の満足感の向上を図った。 以下,各モードについて述べる。(4-1)スポーツモード スポーツモードでは,クルマのドライバビリティをダイレクトに表現するためにキーカラーを赤色とし,また指針先端付近にもアニメーションを加えている。スポーツモードを選択した場合は,e-SKYACTIV PHEVであってもエンジンサウンドとエンジンの回転数を視覚的に感じられるように,左側の表示を電気駆動用のパワーメーターからエンジン駆動用のタコメーターへ自動で切り替え,更にスポーツモード選択中はエンジンを常に稼働させる。そして,体性感覚で認知する「車両の加速度」,聴覚で認知する「エンジンサウンド」に加えて,視覚で認知する「タコメーターの指針の動き」など,全ての感覚が一致して感じられることで,車両との一体感を演出した。このようにスポーツモードはスポーティなドライバビリティを直感的に感じられるHMIとして開発した。Fig. 12にスポーツモードの表示を示す。

元のページ  ../index.html#134

このブックを見る