マツダ技報 2022 No.39
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(4-3)トーイングモード トーイングモードでは,CX50で搭載している Mi-Driveのイメージを踏襲した。しかしながら,3眼表示の全てにデザインの追加や,連結イメージのグラフィックを3次元で表現する等,フル液晶の表現力を最大限に活用し進化させた。このようにトーイングモードは,既に搭載されているMi-Driveのイメージを崩すことなく,更に進化を表現できるHMIとして開発した。Fig. 14にトーイングモードの表示を示す。(4-4)EVモード EVモードでは,MAZDA MX30で搭載しているパワーメーターのイメージを踏襲した。EVモードでは,バッテリー駆動のみで走行するため,クルマの走行能力の限界はバッテリー出力の限界に依存する。そのため,バッテリー出力の限界値を目盛りで常時表示している。それにより,上り坂走行や高速走行の際に,出力限界を認知することが出来,最適なMi-Driveのモード選択が可能になる。この出力限界値の目盛り部分は,ノーマルモードでは,バッテリー駆動とエンジン駆動が切り替わる境目をゼブラゾーン(点線)として表現している。これは,エンジン駆動とバッテリー駆動が状況に応じ臨機応変に自動で切り替わるため,中間ゾーンとしてゼブラ表示としている。このようにEVモードは,バッテリー出力のみで走行する際に知りたいユニークな情報も認知しやすいHMIとして開発した。Fig. 15にEVモードの全体表示を,Fig. 16にノーマルモードとゼブラゾーンの差を示す。(5)特別塗装色との連動 フル液晶メーターではオープニング演出を一新し,外板色が特別塗装色の場合は連動する演出とした。ドアを開きクルマに乗り,エンジンを始動する過程で表示される車両グラフィック及びアニメーションの外板色を連動させることで,特別なクルマを所有する満足感の向上を―126―3. おわりにFig. 14 Mi-Drive (TOWING MODE)Fig. 15 Mi-Drive (EV MODE)Fig. 16 Compare Normal Mode (PHEV) with EV Fig. 17 BODY COLOR Variations of Opening ModeAnimation図った。CX60で採用しているオープニングアニメーション内の外板色は,特別塗装色のソウルレッドクリスタルメタリック・マシーングレープレミアムメタリック・ロジウムホワイトプレミアムメタリックと,その他外板色のデフォルトカラーがある。一方で,オープニング画面以外の表示においては,表示情報に対する瞬読性/認知性への外乱となる懸念を考慮し,デフォルトカラーでの表示に統一した。オープニングアニメーションに表示する外板色をFig. 17に示す。 本稿では,表現の自由度を向上させることで進化させた,CX60で開発した最新のHMIを示した。 2.1節では高画角化し,グルーピングなどの考えにより認知性・瞬読性を向上させたADDの説明をし,2.2節では,従来よりも大型の12.3inch液晶を採用し,また表示の大部分を液晶表示とすることで文字サイズカスタマイズやモードごとの表示に大きな変化を持たせることで認知性・瞬読性を向上させたフル液晶メーターを紹介した。 このように,CX60のHMIはヘッズアップコックピットの考えを踏襲し,共通となる安心・安全を突き詰めた上で,「多様性」や所有欲を満たす演出により,お客様にCX60の魅力をより一層感じて頂けるHMIを目指した。 今後も継続した「人間特性」の追求や市場でのフィードバックを活かしてHMIの進化を通じて「人生の輝き」を提供していく。

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