マツダ技報 2022 No.39
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SweN Ethernet Interface ―135―Simulator of CX-60 BCM CAN Interfaces MAZDA3 BCMSignal of new function Fig. 5 Structure of Simulator of CX60 BCMLIN Interfaces Direct Lines Signal of diversion function Proof of Concept(PoC) by NewS PC Mazda Connect Fig. 7 Proof of Concept(PoC)by NewSMazda Connect Simulator Other ECUs Simulator CAN Interface Fig. 6 Simulation of ECUsSimulator Other ECUs Simulator Mutual conversion between CAN Frame and Ethernet Frame with NewS. インターフェースのレベルで接続し活用することができる。 CX60はMAZDA3同様Body Control Module (BCM)(4)を中心とした車両ネットワークトポロジーを採用しており,このBCMがさまざまな機能を実現している。NewSは一番複雑なCANインターフェースをもつBCMを模擬できるよう,Single board computer (SBC) にCANインターフェースを多数接続し,構成している。また,BCMは一部Local Interconnect Network(LIN)及び専用配線での電源供給による制御を行っているため,NewSにはLINインターフェースマイコン,リレーを接続し制御できる機能をもたせている(Fig. 5)。 このBCMはMAZDA3より採用されているECUである(4)。CX60でも同様の構想にて車両制御を実現するため,MAZDA3から流用する機能と,CX60で新規に開発する機能が混在する。NewSを使って仕様の妥当性確認を行う際,BCMを模擬するためソフトウェアを作成するが,流用機能,新規機能両方の模擬ソフトウェアを作成することは,BCMの再開発が新規開発に追加され,その開発規模から動作検証を実施しての流用部分の等価性の保証が難しい。そのため,流用,新規が混在するECUの模擬の際にはFig. 5のようにMAZDA3のユニットを内部に抱え込む構成とし,流用機能は内部のユニットに通信を通過させ,処理するようにし,新規機能をSBCで処理を行うことで,流用機能の等価性と,新規機能の実装を両立した。 NewSで動作させるソフトウェアはライブラリなどの開発環境が整っており,人間が読んで理解しやすく,昨今よく使用されているプログラミング言語のPython(PythonはPython Software Foundationの登録商標である)で作成する(5)(6)。CAN,LIN,電源制御線は別途個別のモジュールで処理を行う。処理をモジュール化することで,モジュールごとの開発を可能とする。使用機会の多いプログラミング言語を選択すること,モジュールごとの開発とすることで,開発人員の調達を容易とし,各機能の並行開発を可能とすることで,車載ECUそのものの開発をより容易かつ早く期待の動きを模擬することができる。 加えて,BCMの模擬の他に機能の実現のためには表示を行うECUや車両各部を駆動するECUなど,その他のECUも新規機能の模擬が必要である。その他のECUの新規機能はPC上のソフトウェアとして必要に応じた精度で実現する。例えばディスプレー表示はそのままPC上に表示を行い,ドアの開閉やシート移動などはリスト選択やラジオボタンの選択にて動作の入力,ステータスの表示を行うようにするなどである(Fig. 6)。 このその他のECU模擬を行うPC上のソフトウェアからは最終的にCAN信号を出力する必要があるので,NewSにてCAN信号とEthernet上のUDPパケットを相互変換し,PC上ソフトウェアからのCAN信号通信を実現する。PC上での表示とNewSによるCAN通信処理を合わせたその他ECUのシミュレーター全体を「Proof of Concept (PoC) by NewS」と呼ぶ(Fig. 7)。

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