マツダ技報 2022 No.39
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(1) Automotive SIG : Automotive SPICE® Process Assess-(2) Kelly. Hon C., Joseph S. Sherif, and Jonathon Hops. : (3) 藤川智士:マツダの目指すモデルベース開発,マツダ技報,No.31,pp.44-47(2013)(4) 薬師寺英明:新型MAZDA3の車両電子制御システム,マツダ技報,No.36,pp.149-153(2019)(5) The RedMonk Programming Language Rankings: (6) 2021 Developer Survey : https://insights.stackover  Fig. 12 BCM Verification Result―137―4. おわりにment Model, https://www.automotivespice.com/fileadmin/software-download/automotiveSIG_PAM_v25.pdf(2010)An Analysis of Defect Densities Found During Software Inspection, Journal of Systems and Software Vol.17, No.2, pp.111-117January 2022, https://redmonk.com/sogrady/ 2022/03/28/language-rankings-1-22/ (2022)flow.com/survey/2021 (2021)Fig. 11 Developing ECU in Simulation Environment ここで具体例としてCX60で新規搭載されたドライバー・パーソナライゼーション・システムでの成果を紹介する。BCMが外部センサーからの情報を基に,登録された「誰」が「ドライバー」として乗っているかを判断し,判断した「ドライバー」に合わせた設定を各ECUに通知,設定するシステム(7)である。複数のECUがドライバーや設定の情報をやりとりしながら機能を実現するため,本取り組みにより先行妥当性確認,先行検証を行うことで,このやりとりでの認識違いによる不具合を事前に潰し込むことができた。3.2 右バンクでの高速自動検証 車載ECUの検証ではBCMの検証を対象とし,自動化により(Fig. 12)のような多数の検証を毎回の車載ECUアップデートごとに実施し,以前実装していた機能が意図せず動作しなくなるデグレード不具合の流出を防ぐことができた。参考文献てトータル16515テストを試験し,シミュレーターが仕様のとおりできていることを確認した。妥当性確認ではトータル580テストを実施し,仕様書の確らしさを確認した(Fig. 11)。 また自動化を行ったことにより,左バンクで実施に数か月かかっていた13000程度のテストケースを1週間程で実行可能とした。3.3 ECU設計及び実装の効率化 最後に,今回トライアルとしてNewSをマツダからBCMとは異なる車載ECUを開発するサプライヤーへ貸出し,ECU設計及び実装時の対向動作確認に活用いただいた。これにより,各ECUを持ち寄って試験を行うシステム検証までBCMでの新規機能の動作を見ていなくても,NewSでの動きを元にシステムの動きを整合させ,7件の不具合をシステム検証前に検出でき,計画どおりのシステム検証を実施できた。 本稿では,2章ではシミュレーターにてECUの動きを模擬することで左バンク時点にて妥当性確認を実現することで手戻りを防止し,サプライヤーにはマツダの期待動作をするシミュレーターを貸出することでサプライヤーの開発効率を上げる考え方を説明した。3章ではその考え方を実現するイネーブラであるNewSとSweNの説明と,CX60での具体例を説明した。 今後,車はインターネットと接続し,ソフトウェアがOver the Air(OTA)でアップデートされ,機能が逐次提供される変化の速い時代となる。そのような時代においてはお客様の期待を確実に素早く実現し続けることができるよう,クルマの機能開発は確実に,効率よく実施できなければならない。 お客様に更なる“走る歓び”を実感頂けるようソフトウェア開発力を進化させていく所存である。

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