マツダ技報 2022 No.39
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 CX60を手始めに展開していくラージ商品群の導入に伴い,マツダにとって初となる直列6気筒エンジン(以下,直6エンジン)を導入する。この直6エンジンは大排気量化と理想燃焼への進化を同時に実現させ,走り・燃費・エミッション・騒音・振動の全ての性能を高めた新世代ディーゼルエンジン「SKYACTIVD」から生産を開始し,各国の市場のニーズに合わせ新世代ガソリンエンジン「SKYACTIVX」,ターボチャージャー搭載のガソリンエンジンへとラインナップを追加していく予定である。 これまで,一括企画,コモンアーキテクチャー構想,フレキシブルライン構想により生産効率とフレキシビリティを両立した直列4気筒エンジン(以下,直4エンジン)組立ラインを国内外の拠点に展開してきている。直6エンジンにおいても,マルチソリューション戦略による電動化の推進と商品導入を実現するためにフレキシブ*1~6  パワートレイン技術部 ―145―1. はじめに2. 直列6気筒エンジン生産の課題6-cylinder engine. Based on a bundled planning, a common architecture concept and a flexible line concept, we have deployed the in-line 4-cylinder engine assembly lines, which achieved both higher production e■ciency & flexibility, to our domestic and overseas production bases. This new engine assembly line has been constructed by the same concepts. In addition to the above concepts, this paper focuses on how we reflected the solutions of the specific problems of in-line 6-cylinder engine production and quality assurance in this new assembly line.Powertrain Production Engineering Dept.Atsushi NagaoKiyohiro KudoTakashi MiyataTakahito MatsunamiTakashi MatsuuraYuki IkedaKey words:Production・manufacture, Continuous production, Module, Flexible, Quality assuranceIn-Line 6-Cylinder Engine Assembly Line特集:MAZDA CX6024要 約 マツダで初となる直列6気筒エンジン導入に伴い,エンジン組立ラインを新設した。これまで,一括企画,コモンアーキテクチャー構想,フレキシブルライン構想により生産効率/フレキシビリティ/品質を両立した直列4気筒エンジン組立ラインを国内外の拠点に展開しており,同様な考え方を新ラインに織り込んだ。直列6気筒エンジン導入にあたり,多気筒化固有の生産上/品質保証上の課題を組立ラインの仕様にどう反映してきたのかという点を中心に紹介する。AbstractMazda has newly constructed an engine assembly line according to the introduction of Mazda’s first in-line 永尾 篤*1宮田 崇史*2松浪 隆仁*3工藤 聖広*4松浦 恭*5池田 裕輝*6ルかつ高効率な生産ラインを構築していく必要がある。本稿では,これら新規導入する直6エンジンの生産上,及び品質保証上の課題に対する取り組みを中心に紹介する。 マツダでは,大排気量のエンジンとしてはV型6気筒エンジンを生産した経験があり,2011年のSKYACTIVエンジン導入時には直4エンジンとの混流生産をしていた。この混流生産の考え方と知見を基に,直6エンジン組立ライン新設を検討したところ,以下の問題が顕在化し,新たな課題を抽出した。(1)高効率フレキシブル生産の進化 従来からフレキシブル生産構想の実現に向け取り組んできているが,人作業工程において,特定機種台数増や混流比率の変動に対して,作業工程の追加に大きな改造が必要となる,作業編成効率を高く維持できない問題を抱えている。また,自動化装置においても,機種追加の直列6気筒エンジン組立ラインの紹介

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