―162― After (1)b⇒a(2)a⇒bFig. 10 Measures Against Self-Weight Deformation4.2 寸法精度保持の溶接打点位置と順序の決め方 4.1で紹介した活動により,加工基準を机上にて決定し,治具内でねらいの寸法精度を保持することが可能となった。次のステップは,ねらいの寸法精度を保持したままサイドフレームアウターパネルをインナーフレームに組み付けられる溶接打点位置と順序を決定することである。ただし,1工程で加工できる溶接打点数には限りがあり,該当工程のタクトタイム,ロボット等の動作範囲も考慮し,かつねらいの寸法精度を実現できる打点位置と順序を検証し設定する必要があった。 ここでは,リフトゲート開口のパーティングラインの面精度保証を例として,CAEを用いて溶接打点位置と順序を決定した活動について紹介する。 Fig. 11に示すa,b,cの溶接打点はリフトゲート開口の寸法精度保証に寄与することがこれまでの車の検証結果より得られていた。一方,ラインタクトの制約から全ての溶接打点を同工程内で同時に加工することはできないため,CAEで溶接打点位置,順序による寸法精度保証の検証を行った。Fig. 12(1)のカラーマップに示すように,打点bを先に溶接した場合,リフトゲート開口部に0.3mm寸法精度変化があり(赤枠部),治具解放前後で寸法精度が変化すること(青色)が分かった。逆にFig. 12(2)打点aを先に溶接した場合,精度変化がほとんどない(緑色)。また,Fig. 12(3)(4)打点cの有無で,リフトゲート開口部の寸法精度変化がなく(緑色),この工程での寸法精度保証に関して,溶接打点cの寄与度が低く,その他の工程への移管を行った。 このような検証により,タクトタイム内の加工量の制約やロボット動作範囲を考慮した上で,ボディーの寸法精度目標達成に必要な溶接打点位置と順序を決定し,工程設計へ折り込んだ。Fig. 11 Spot Welding Positions(3)a⇒b With c(4)a⇒b Without cFig. 12 Verification Result of Welding Sequence4.3 ボディー精度作り込みの実機検証 机上で決めた寸法精度保証の良品条件に基づき,実機検証を行った。ボディー寸法精度の結果だけでなく,CAEへ入力する実測値や溶接打点ごとの寸法精度変化量等も合わせて実機計測した。その結果,サイドフレームアウターパネルのリアドア,リフトゲート開口部において,寸法精度変化が0.2mm以下であり(赤枠部),机上で決めた加工基準,溶接打点位置と順序の有効性を確認できた(Fig. 13)。Fig. 13 Verification Result of Body Assembly5.1 インナーフレーム構造の接合課題 インナーフレーム構造の採用により,レインフォースBefore 以上のように,実際の量産ラインでの現象を想定し,それを再現した解析モデルで机上検証することで,魂動デザインを忠実に再現できた。今後も,本活動により得た技術をベースに,更なるお客様の期待を超えるボディー実現に向けて挑戦し続けていく所存である。5. ロバストなCSSW溶接工法開発
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