マツダ技報 2022 No.39
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岡林 直道 山縣 英雄―169―5. おわりにFig. 8 Conventional Inspection MethodFig. 9 The Latest Inspection Method by MRFig. 10 Vehicle Assembly Process Simulation System細木 信吉  この課題を解決するため,MR(Mixed Reality)の技術を応用する手法確立に取り組んだ。具体的にはデジタルファクトリーで,実作業同等の環境再現により行った作業動作を,モーションキャプチャーシステムにより,デジタル人間モデルとして生成し,そのデジタル人間モデルから各関節可動角度を数値として抽出する手法である(Fig. 9)。 この手法の確立により,検証者の経験や勘に頼らず,作業姿勢を数値化し,ストライクゾーン工程設計による効果量を机上でシミュレーションすることが可能となった。 今後は,作業動作のデジタル人間モデル生成と作業負荷量の算出までを自動化する組み立て工程シミュレーションシステム(Fig. 10)を確立し,そのシステムを活用した効率的な工程設計プロセスで,新たな工法を取り入れた働きやすさの追求を加速していく。 本取り組みにより,H2組み立てラインにおける既存車種とラージ商品群の混流生産効率を高め,同時に,将来の車両構造変化へ柔軟に対応ができ,働く人にも優しいサスティナブルな工場へ進化させることができた。 今後,カーボンニュートラル観点も加えて将来も使い続けることのできる工場へと更に発展させていく。具体的には,協調ロボット技術を活用し,複数の作業を同時にできるような工夫でマルチソリューション戦略の商品の混流生産効率を高める。加えて,作業者の能力を最大限発揮できる作業環境を追求していくことで,ライン長の短縮や作業に必要なスペースを縮小し,車両や大型部品の搬送エネルギー,空調や照明などのエネルギーを削減する。そのような,生産過程におけるCO2排出量を極小化できる,世界最小のコンパクトファクトリーを実現していく。■著 者■越智 元基

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