マツダ技報 2022 No.39
183/275

 CX60ではボンネットとバンパーの合わせ部の隙について,前モデルの隙より15%縮小することを達成でき,より精緻な外観品質を実現できた。また今回FOEの導入によりエンジンルーム内の部品組み付け時に発生する腰曲げ作業が従来は74作業あったが,CX60では廃止でき,作業時間も部品一体化が可能になった8部品について24%向上した。これにより生産現場の働きやすさと作業効率の向上を実現できた。 A (1) 田中慶和ほか:「魂動」デザインを際立たせる“面の連続感”実現の取り組み,マツダ技報,No.34,pp.93-98(2017)―174―8. おわりにBumper bracket_AFig. 15 Structure of Jig_ABumper bracket_BPositioning at Bonnet EdgeJig_2Bumper bracket_BFig. 16 Structure of Jig_BJig_1Jig_2BonnetView_AJig AngleBumper Bracket_B AngleBonnet AngleFig. 17 以上の取り組みにより開発した治具をCX60の量産に導入し,ねらいどおりの位置にバンパーブラケットを組み付けることが可能となった。7. 結果 魂動デザインの更なる向上と,生産現場での働きやすさについて,開発,生産技術及び,製造の部門横断で総力を挙げて取り組むことで,成果を上げることができた。今後も更なる魂動デザインの深化を工程・工法の変革で具現化し,お客様へ感動を提供し続けるための技術開発を継続していく。参考文献 前述した治具の位置決めの精度に対しては,剛性や治具の組み付け再現性が非常に重要となる。そこで治具の着脱作業プロセスに沿ってCAE解析を行い,取り扱いや治具セットに起因する変形がないことを確認した。 中でも,特に重要なポイントは治具の姿勢であった。僅かな治具の回転により,バンパーブラケットの組み付け位置がねらいからずれるため,治具をセットするボディー面のばらつきが治具姿勢に与える影響の検証や,治具のセット位置が安定するクランプ位置の検証を行った。重心,基準点数及び,位置を考え,さまざまな治具形状を検討して最適な形状に決定した。また,ボンネット先端基準でバンパーブラケット_Bを位置決めする際,バンパーブラケット_B,ボンネット開度及び,治具のセット方向を合わせることにより,角度差をなくして位置決め精度を出せる設計とした(Fig. 17)。

元のページ  ../index.html#183

このブックを見る