マツダ技報 2022 No.39
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―10―4. インテリアデザインFig. 6 Rear Design & Rear Signature3.4 空力デザイン CX60は,世界の競合を押さえてトップクラスのCd値を実現した。これはデザイン開発初期からの空力開発チームとデザインチームとの協働の賜物に他ならない。ここでは空力開発チームの性能向上への強い意志と,関係全領域へのエミッション規制対応における空力性能の重要性の早期共有が奏功した。デザインとの協働でも最新のシミュレーション解析技術により,理想的な風の流れのバランスを追求しながら,デザインの造形に細かな変更が入るたびにその変更が具体的にどのように全体の風の流れに影響しているか,ビジュアル資料を共有し,デザインチームとともにネクストステップを協議した。「引き算の美学」を謳う魂動デザインは,空力性能向上のためにデザイン上意図しない要素を加えることを嫌う。空力開発チームもそれを熟知しており,自ずと協議は,そのような要素を加えずに同様の効果を引出すことに集中した。それらの積み重ねにより,引き算の美学とクラストップクラスの空力性能の両立を実現した。3.5 新色 ロジウムホワイトプレミアムメタリック  マツダを代表するカラー,ソウルレッドクリスタルメタリックやマシーングレープレミアムメタリックに続く,第三の匠塗りカラーとなるスペシャルホワイト,『ロジウムホワイトプレミアムメタリック』を開発した。この新色は,「引き算の美学」や禅の世界の「無」から着想しており,マツダ独自の質感表現として,マシーンの精巧なイメージを意識し,金属の緻密な輝度感にこだわった。従来のホワイトパールとは異なり,より緻密な粒子感で硬質な輝きを実現し,CX60の力強さと気品を兼ね備える造形をより一層際立たせるものとなった(Fig. 7)。Fig. 7 Rhodium White Premium Metallic4.1 縦置きパワートレイン後輪駆動ベースの走りの 走りを骨格レベルから表現したエクステリアデザインと同様,CX60のインテリアデザインも,その空間構成から縦置きパワートレイン,後輪駆動ベースの魅力を全面に表すものとした。 車格を表すワイド感をインストゥルメントパネルの幅で,そしてマツダ車らしい前後方向のスピード感をドアトリムアッパーと,コンソールの動きで明確に表現した。最大の特徴はこのインストゥルメントパネルを前方に突き抜く強くワイドなコンソールの存在で,その下には強靭なトランスミッションの存在や,その前方にある縦置きの強力なパワートレインの存在を想起させる(Fig. 8)。Fig. 8 Construction of Interior Design級のパワートレインにはその技術ネームも表示してグレード表現とした。(3)リアフェイス 水平基調の骨格を利して,リアビューでは重心が低く安定した,大人っぽい表情を創った。造形や光の動きはリアタイヤに繋げてスタンスを表現しながら,水平基調として動きを抑えた。 リアランプのライティングシグネチャーも水平基調とし,遠くからでも瞳の存在を感じられる,強いグラフィックを創出した(Fig. 6)。 これらワイド感,前後方向のスピード感などの,CX60の空間構成の特徴となる部分にはアイキャッチになる素材や色を施し,全てのグレードでその空間の魅力を感じられるものとした。 インテリアデザインにおける『Noble Toughness』は,強い空間構成の中に,自然の光の移ろいを美しく映し出す断面形状や材質,コーディネーションの魅力などといった知性やエレガンスの表現を両立させるところにある。4.2 ドライバー空間  機能配置,メーターグラフィックレイアウトなどにドライバーの中心軸はしっかりと感じさせながらも,ドライバーがワイドな車幅と高い車格を実感できる空間構成を創ることを優先し,インストゥルメントパネルの造形では左右の広がりを重視した。両サイドのエアコンのルーバーは,構造上の限界まで外側に出してドアトリムアッパーにまで食い込ませ,ワイド感と同時にルーバー加飾の前後方向の立体の深さを持たせてドアトリムアッパーの前後方向のスピードに連携させた。センタールー空間

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