―181―Fig. 16 Device that Realizes Advanced Driving AssistanceFig. 17 Gap Acceptance Decision Modelb. 歩行者や自転車の飛び出し予測技術 飛び出し予測では環境の危険度を予測する先行研究があるが,飛び出す対象をあらかじめ把握する必要があった。そこで,飛び出すのが歩行者か自転車かを一方通行やビルの壁,歩道の有無などの環境特徴から予測する技術の研究に取り組んだ(Fig. 18)。(Priority/Non-Priority, Road Width, etc.)Fig. 18 Context Example 点への侵入を回避する,自転車・歩行者を検知して停車するなど,同乗者や周囲の交通参加者にも安心できる車両の動かし方や,安全上ベストエフォートと感じられる停車を目指した。 ベース車両であるMAZDA3に対して,追加したセンシングデバイスを示す(Fig. 16)。 追加したカメラは合計12台である。一般道路において,他車両を検知しながら車線変更する機能,安全に停車できる場所を自律で探索する機能,道路端から脱出・救護のスペースを空ける精度の高い路肩退避機能,路上駐車の車両を避ける機能,赤信号の交差点への侵入を回避するための信号検知機能,自転車・歩行者を検知して停車する機能などを実現するために,これらのカメラを用いて認識性能を向上させている。また高精度な自己位置推定を行うため,12カメラを使って取得した画像を重ねあわせて学習させていくことで,運転支援に使える地図を自前で生成する機能も実装した。 追加したV2Xの機能は,主に信号機より受信した信号切り替えタイミング情報を用いてジレンマゾーン(システムが進むべきか停止すべきか迷う状態)を解消する制御に活用している。(1)走行環境の特徴を利用した危険予測技術(2) 走行環境から潜在的危険を予測する技術として,他車の車線変更予測と,歩行者や自転車の飛び出し予測について開発してきた。a. 他車の車線変更予測技術 従来の車線変更予測では,予測対象とする他車の予備動作や周辺車両との車間距離から車線変更を予測したが,予測対象が車線変更を決断する車間ギャップのモデル(Fig. 17)を応用することで,実際に車線変更を行う2.0秒前の予測が可能となり,他車の横方向からの衝突を回避可能とする目途が付いた。 統計的に説明可能なモデル化を進めることで,環境特徴が歩行者,自転車の行動に影響を与えることが明らかになった。 環境特徴から飛び出してくるのが歩行者か自転車かを判別する機能を開発し,予測性能の向上の目途が立った。 MAZDA COPILOT CONCEPT 技術試作車は,さまざまな交通環境でのデータ取得や実証実験を行っている(Fig. 19)。実走行環境の検証を積み重ねることで,優れた環境適合性を備えた技術に改良していく。
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