マツダ技報 2022 No.39
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(2)特徴的なアニメーションによる高揚感の醸成 操作補助として用意されているメニューリストとセットで,走行モードごとに走り味の変化を想起させる文字盤と背景のグラフィックのアニメーションを採用し,ドライバーのスイッチ操作と連動させることで,クルマの性能を操る自己有能感的な満足さや,ドライバーとクルマの心的つながりを高めた。 走り味の変化の様子を車の挙動や音のみならず視覚的な認識で補足することで,運動性能の変化をより印象を強くし,操作を習熟したユーザーにも気持ちを切り替える瞬間につながることをねらった(Fig. 7)。―185―NORMAL OFF-ROAD SPORT TOWING Fig. 4 Switch of Mi-DriveFig. 5 List Display to Assist Operation3.2 注視を必要としないモード識別表示 思いどおりの走り性能を実現するためには,環境や走り方に応じてドライバーに適切なモードを選択していただく必要がある。モードの選択ミスやノーマルモードへの戻し忘れを防止するために,メーターを注視しなくとも現在のモードを瞬時に把握できる表示を目指した。ドライバーが周辺視で認知しやすい光刺激の輝度と面積の関係を実験的に求め,各モードのグラフィックに反映した。3.3 リッチな視覚効果 CX50のMi-Drive HMIは,「心のスイッチを切替える」をテーマに開発を行ってきた。その中でも特にメーターGraphical User Interface (GUI) はユーザーのスイッチ操作と連動し,一目でモードごとのドライバビリティを想Fig. 6 Graphics for Each ModeFig. 7 Dynamic Interactionソール上に配置した。ドライバーの目線移動を抑えるべく,物理的手掛かりのある前後トグルスイッチとし,スイッチを注視することなく認知,操作が可能な方式を採用した(Fig. 4)。 トレーラーを牽引しない通常走行状態においては,選択可能なモードはSPORT,NORMAL,OFFROADの3モードが選択できる。IGON時はNORMALモードから開始され,スイッチを前方向に動かすとSPORTモード,後ろ方向に操作するとOFFROADモードが選択され,NORMALモードに復帰したい場合には,それぞれ逆方向の選択操作を行う。併せて,操作中はメーター画面上に操作を補助するガイドを表示し,操作の方向を確認できるようにした(Fig. 5)。起させ,気分を高揚させたりあるいは安心させるビジュアルコミュニケーションをテーマにメーターインターフェイスのデザイン開発を行った。具体的には以下に挙げる2つの静的・動的な情報伝達表現となる。(1)配色計画とビジュアルアイデンティティ モードごとに変化する色彩要素を周辺視や主たる計器要素に集中させ,光刺激要件を効果的に達成させながらも煩わしさに配慮した。また,配色はモードごとに明快に色と質感を差別化し,走行シーンを想起させるグラフィックとした。例えばオフロードモードでは,褐色とグレーのキーカラーを凹凸ある色面で構成し,未舗装の悪路も逞しく走り抜ける力強さを表現している。これらを展開車種で一貫した表現様式に規定することで,ドライバビリティの変化という機能的価値にビジュアルアイデンティティ(ブランドの価値やコンセプトを可視化)という意味的価値を付与した(Fig. 6)。

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