マツダ技報 2022 No.39
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今村 泰理 松尾 純太郎 (1) 嶋田ほか:新世代i-ACTIV AWDの紹介,マツダ技―187―5. TOWINGモード6. おわりにFig. 11 Test Scene of Hill Launch5.2 GVCによる接地感/ステアリング応答性の向上 トレーラー牽引時の前輪接地荷重の減少による操舵応答悪化を改善するため,ドライバーの操舵に応じてエンジントルクを低減するGVC 制御の特性を最適化した。具体的には,トングウェイトによる性能変化を補償するためNORMALモードよりも制御ゲインを増加することで接地感を改善させた。直進においても修正操舵の応答性を高めることでハンドルの据わりを安定させつつ,旋回時にはアンダーステアを低減してリニアなステアリング特性を実現した。5.3 トーイング専用のATシフトパターンによる余裕 ATのシフトパターンも最適化,変速後の駆動力の余裕代を常に演算し,トーイング時に必要なトルクを出せる回転数を維持することで,余裕のある走りを実現した。梅津 大輔 諸川 波動  トレーラー牽引時には,単に車両の総重量が増えるだけでなく,横風や不整路面による影響で横揺れが起きやすくなる。また,トレーラーとの接続部分に下向きの力が掛かることで(トングウェイト),前輪の接地荷重が減少しハンドリング性能が悪化する。今回,マツダ純正用品のトーバーコネクタを使用してトレーラー接続を行うことで選択可能となる「TOWINGモード」を新たに開発した。各種制御の特性をトーイング状態に最適化することで,非牽引時に近い安定した走行性能を実現した。5.1 AWDによる直進安定性とトラクション感の向上 トレーラーとの接続部分への荷重増加に合わせて後輪に配分するトルクを強化し,フリーウェイなどでの直進安定性,非舗装路や登坂路でのスリップ軽減を実現した(Fig. 11)。の走り 今回,CX50向けに新開発したMi-Driveについて,2章ではMi-Driveの概要を説明し,3章ではHMI領域を,4章,5章では新たに設定した「OFFROAD」と「TOWING」の2つの走行モードについて紹介した。アクティブなライフスタイルを楽しむお客様が,このMi-Driveとともにさまざまなシーンで自信をもって運転を楽しみ,安心して自然の中へ入っていけることを目指して開発し,それが実現できたと考える。 今後もマツダは,さまざまなシーンでの人馬一体の走りの進化を追求していく。■著 者■参考文献報,No.37,pp.33-38(2020)藤岡 陽一延谷 尚輝

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