マツダ技報 2022 No.39
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*1~4  操安性能開発部 ―188―1. はじめにKinematic Posture Control (KPC) is the vehicle dynamics control concept that integrates suspension geometries and longitudinal tire force e■ect. At cornering, jack-up force occurs, enlarging the heave of a vehicle body, making the driver uneasy. KPC suppresses the heave and gives the driver a sense of ease. KPC controls the heave and stabilizes vehicle behavior by combining a rear suspension with anti-lift geometry incorporated and rear inner-wheel breaking, which generates vehicle-body pull-down force. We propose the control concept, and report the evaluation results of the control e■ect using Roadster equipped with KPC.Fig. 1 Vehicle Dynamics ConceptChassis Dynamics Development Dept.Naoki HiragaDaisuke UmetsuHiroyuki OgataFuminori KatoKey words:Vehicle dynamics, Suspension system, Brake system, Motion control, Driving stabilityKinematic Posture Control (KPC) の開発Development of Kinematic Posture Control (KPC)論文・解説31平賀 直樹*1緒方 博幸*2加藤 史律*3梅津 大輔*4 著者らは,Fig. 1に示すようにGVectoring Control Plus(以下,GVC Plus)の開発・適用を通して,コーナーターンインからターンアウトまでのバネ上の車体姿勢が,ドライバーの操作とフィーリングに影響を及ぼすことを明らかにしてきた(1-3)。 ロードスターをはじめとするRear-Wheel Drive(以下,RWD)量産車のリアサスペンションジオメトリの一般的な特徴として,リアのロールセンター高がフロントに比べて比較的高くなっている。これにより,タイヤ横力による前後外輪のジャッキアップ効果に起因するもち上げ力が,フロントに比べて優勢となる。このジオメトリ効果を利用した結果として,Fig. 1に示すターンイン時の前下がりピッチが自然に実現できる。しかし,リアのロールセンターが高い構成においては,旋回横加速度が大きいシーンで必要以上のジャッキアップ力がもたらされ,旋回時に車体がもち上がるヒーブ運動が発生し,ドライバーに不安感を抱かせることがある。 そこで今回,RWD車の旋回横加速度が大きいシーンに増大するヒーブを抑制する手法を検討した。その結果,Fig. 2に示すリアサスペンションのアンチリフトジオメ要 約 一般的に,リアのロールセンター高はフロントに比べて比較的高めに設定されている。このようなリアのロールセンターが高い構成においては,旋回横加速度が大きいシーンで必要以上のジャッキアップ力をもたらし,旋回時に車体がもち上がるヒーブ運動の発生により,ドライバーに不安感を抱かせることがある。そこで,旋回横加速度が大きいシーンに増大するヒーブを抑制する手法を検討し,バネ上の車体姿勢を安定させるKinematic Posture Control(以下,KPC)を開発した。本稿では,まずKPCの制御コンセプト及びシステム構成を紹介する。そして,KPCによって旋回中のヒーブが抑制されることをフルビークルシミュレーションで確認した結果を紹介する。更に,KPCを搭載したロードスターを用いて,ドライバーの運転行動へ及ぼす効果を検証した実験結果を紹介する。KPCは旋回中のヒーブを抑制することでドライバーが余裕をもった操作になることがわかった。Abstract

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