VdiffFRin==(1)≥)) =⎧Vdiff⎨V⎩diff KPCは,サスペンションジオメトリと制動力の組み合わせによってヒーブ抑制を実現する車両運動制御である。Fig. 3に制御ロジックの概要を示す。コーナー旋回中のヨーレイトrの発生に伴い,リアの左右車輪速VO,Iの差であるVdiffが制御介入閾値Vthreshhold以上となると,旋回内後輪へ制動力FRinを付与することでヒーブの抑制に必要なアンチリフト力FALが車体に加わる。KPCで旋回内後輪に制動力を付与する制御は,Direct Yaw-Moment Control(4)(以下,DYC:旋回内外輪の制駆動力差によってヨー運動を促進する制御)と類似しているが,制動力FRinはヨー運動の促進効果がほとんど発生しない僅かな値に留めている。KPCは車両の平面運動を変えることなく,ヒーブのみを制御するというコンセプトに基づいた制御である。―189―Fig. 2 Anti-Lift Force by Brake2. KPCコンセプトFig. 3 Kinematic Posture Control ConceptVRout0−(VVRoutRin−<<vvrinthreshholdckpc+1ts−vrin(vroutturning radiusvthreshholdturn-inturn-outouter="" wheelinner="" wheelbrake="" forceanti-lift="" forcevrout:リア外輪の車輪速vrin:リア内輪の車輪速t:一次遅れ時定数ckpc:kpcの制御ゲインvthreshhold:制御介入を判="" 断する閾値s:ラプラス演算子fig.="" 4 control="" operating="" concept="" depending="" on="" the="" トリと旋回内後輪制動の組み合わせで発生するバネ上の車体を引き下げる力,アンチリフト力によりヒーブを抑制し,バネ上の車体姿勢を安定させる新たな車両運動制御kinematic="" posture="" control="" (kpc)="" を開発した。本稿では,制御の概要とシステム構成に加え,kpcの効果を客観的・定量的に評価した結果について報告する。 車両に実装する際は,式(1)のように閾値を超えて左右の車輪速差vdi■が発生した時に,旋回内輪の制動力frinを制御指令値とする。この制動力は,左右の車輪速差に対応して大小が決まる。 より具体的な走行シーンを例に説明すると,fig.="" 4(i)に示す旋回半径が大きいコーナーでは左右の車輪速差が小さく,車両に発生する横加速度も小さいため,車両のヒーブも小さい。一方,fig.="" 4(ii)に示す旋回半径が小さいコーナーでは,左右の車輪速差が大きく横加速度も大きいため,車両のヒーブも大きくなる。従って,左右の車輪速差を考慮した制御により,自動的に旋回半径の大小に応じた制御量の大小が適合可能となる。また,左右の車輪速差を用いることで,カウンタステアなど旋回方向と逆方向にドライバーのハンドル操作が行われた場合も,車両の旋回方向に対する適切な方向への制御実行が可能である。 また,左右の車輪速差は走行シーンだけでなく,車両の仕様差によっても異なる。例えば,fig.="" 5(i)に示す差動装置が搭載されたオープンデフ車に対して,fig.="" 5(ii)に示す差動制限装置であるlimited="" slip="" differential(以下,lsd)搭載車は左右の車輪速差が制限されるとともに,駆動力の左右差によってヨー運動が抑えられるため,安定性が高くヒーブに対する不安感も低減される。そして,この車輪速差が小さくなるlsd搭載車では,kpcは弱く作動する。車輪速差を参照することで,走行シーンだけでなく実装する車両特性も自然に考慮され,適切な制御量を演算することが可能となる。="" <="" p=""> </vvrinthreshholdckpc+1ts−vrin(vroutturning>
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