マツダ技報 2022 No.39
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(2)データロガー本体とセンサーの無線接続技術 ACMセンサーを無線子機に接続し,無線親機に接続したデータロガーまでを無線で通信する技術を開発した。腐食は,走行中だけでなく夜間の駐車時間にも進行するため,エンジン停止後も連続して測定することが必要である。それに対応できるように子機にバッテリーを搭載した。1)無線化技術 無線化のための要件として,無線子機を自動車のどの部位に設置しても車内の親機まで無線でデータ送信が可能であることが挙げられる。 その対応技術として,送信周波数帯が2.4GHz周辺という障害物に強い,一般的にはWi-Fiと呼ばれる周波数帯で送信するようにした。Wi-Fiは消費電力が大きいため,次の消費電力低下対策を行った。2)消費電力低下技術 Wi-Fiを使用すること,及び駐車中を含め最長約6か月の長期に渡って無給電で子機を稼働させる必要があった。そのために,以下の消費電力低下技術を開発した。➀計測データはメモリーに保管し,一定時刻ごとにデータの一括送信を行うようにした。➁送信時には,親機とデータ照合を行い,未送信分のみ送信するようにした。➂送信データがない場合は送信しないようにした。3)測定可能な情報 収集した測定データの詳細分析のため,ACMセンサー出力以外に,温度/湿度,走行場所を把握するためのGPS,走行条件が分かるCAN信号(Controller Area Network:車載通信規格)及び走行中の動画を同時記録できるようにした(Table 1)。このうち,温度/湿度センサーは,腐食分析に必須であるため無線子機各々に搭載した。(1)腐食センサー 腐食センサーは,橋梁や建造物などの固定体の腐食環境を測定するツールとして広く活用されているACMセンサー(Atmospheric Corrosion Monitor Sensor)を用いた(1)。ACMセンサーはFe板の上に,絶縁ペーストとAgペーストが格子状に塗布され,Ag-Fe間が結線されている(Fig. 3)。降雨や結露などの環境要因で格子部分に水分が付着すると,Ag-Feが導通し電位差によって異種金属接触腐食(ガルバニック腐食)が起こり,ガルバニック電流の挙動から腐食環境を定量的にとらえることができる。Measurement PurposeCorrosion currentDew, Deliquescent of saltVehicle position, TimeWeather & Road conditionVehicle conditionFig. 1 Corrosive Environment Measuring SystemFig. 2 Measurement ScreenFig. 3 Mechanism of ACM SensorTable 1 Measurement Items and PurposeMeasurement ItemsACM senserTemperature/Humidity sensorGPS signalDashoboard cameraCAN signal(Controller Area Network)4)データのリアルタイム収集 親機にはインターネットへ接続する機能を装備しており,データ分析を行う場所から遠隔で走行車両の各センサーのデータをリアルタイムで確認及び収集を可能とした。―195―ンサーと無線接続技術によって解決した。2.2 腐食環境計測システムの詳細 開発した腐食環境計測システムの全体構成をFig. 1に,計測画面をFig. 2に示す。

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