マツダ技報 2022 No.39
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(3)しきい値による推定結果と検証 本分析手法により得られたしきい値をTable 2に示す。海塩環境の沖縄のデータでは,しきい値として0.1mA以上を0mAとする結果となった。また凍結防止剤散布環境の北海道では,散布量の多い冬期は20μA以上を20μAに,それ以外の期間は80nA以上を80nAとする結果となった。 また,しきい値で補正した電気量と鋼板腐食量の相関係数は,海塩環境で約0.8,凍結防止剤環境では0.9以上であった。 以上より,ACMセンサーのしきい値は腐食環境で大きく変わり,しきい値を推定する方法として本手法は有効であることが分かった。 Fig. 5(c)の例ではLASSOによる推定で係数 β5,β6は0となっている。これは4μA以上の出力が降雨や路面の水のタイヤの巻き上げによって過敏に出力しており,腐食量に寄与しないと推定している。よって,しきい値は4μAで設定し,4μA以上の出力は全て4μAに均す補正方法が腐食量と相関性が最も高いという結果が得られている(Fig. 5(d))。(All year)0.1mA20μA(Winter)(Other)3.2 ACMセンサー出力と腐食環境データの関係 2つのステップで関係式を構築する。まず,腐食環境データは因子数が多いためACM出力である電流値に寄与する腐食環境データを抽出する。次に,抽出した腐食環境データから回帰モデルを作り,関係式を構築する。(1)ACM出力に寄与する腐食環境因子の抽出 ACMセンサーの出力挙動から自動車の腐食は走行時だけでなく駐車時の凍結防止剤の潮解などによって腐食が進行している。したがって腐食には気象条件の影響が高いため気象データを,更に凍結防止剤散布地域においては塩の散布量を車両計測データと関連付けて分析した。分析に用いるデータをTable 3に示す。 分析データは,100因子×100万サンプル/年と大規模データとなった。これらの中から,腐食との寄与度の高い気象条件や凍結防止剤散布条件,その時のACMセンサー値などの複合関係を分析する必要がある。従来の重回帰分析手法などによる感度分析手法では,1つの因子に対する相関関係や感度を評価するのみなので,説明変数間の複合的な相関関係を評価するために,因子分析機能付き無教師型クラスタリング分析手法を適用した。この手法は,Fig. 6に示すように,大規模データの1行を1本のベクトルと見なし,ベクトル間のユークリッド―197―Region/PeriodOkinawaHokkaidoHokkaidoCorrelation of reviesed electric charge and steel corrosion0.780.960.90Fig. 5 Revising ACM Current with Regression ModelTable 2 Threshold and CorrelationRevised current Thresholdover threshold0mA20μA80nA80nA

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