マツダ技報 2022 No.39
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 Fig. 8にイタレーションごとの最適化の進行度合いを示す最適化品質Qと各目的関数の総和の推移を示す。Q2ρρ−)/(aveiρρ−()1aveave(7) これらから目的関数も十分に収束し正常に最適化が進行していることがわかる。N  Fig. 10に最適化前後の前面衝突,後面衝突,側面衝突での剛体壁の荷重-変位特性の変化を示す。これらから最終的な骨格構造が目標の荷重-変位特性に,近づいていることが分かる。―203―(m)Front Multipoint Vibration(n)Rear Multipoint VibrationFig. 6 Excitation Case of Vehicle Body NVHFig. 7 Optimal Shape of Vehicle Body StructureΣiQ=Fig. 8 Volume, Quality, and Objective Function History Fig. 9に最適化前後の車体剛性の各ケースの正規化したひずみエネルギーを示す。いずれのケースも最適化初回(Initial)から十分にひずみエネルギーが減少しており剛性性能が向上していることが分かる。Fig. 9 Strain Energy of Sti■ness Cases Before and after Optimization これらの車体剛性の5ケース,衝突性能の7ケース,NVH性能の2ケースの合計14ケースの性能を同時に向上させることを目的関数とし,残存体積を10%以下とすることを制約条件として,トポロジー最適化計算を行った。各ケースに作用する重みについては,試行錯誤により適切な値を決定した。最適化手法は最適性規準法(10)を用い,最適化の反復回数は95回とする。3.2 同時トポロジー最適化結果 Fig. 7に最終イタレーションで得られたトポロジー形状を示す。車両の全体にわたって高密度となる構造がトラス状の骨格構造として導出されている。車体剛性に関しては全体的にトラス構造となっており,Bピラー周辺,Cピラー周辺の車体横断面が連続的な環状構造となっている。衝突性能に関しては車体前端部や後端部は比較的骨格が少なくエネルギー吸収しやすい構造となっており,フロアー下にキャビンの前から後ろまで連続したフレーム構造が通っている。NVH性能に関してはサスペンション取り付け部を起点としたトラス構造が車体全体に広がっている。結果として複数性能を同時に満たすトポロジー形状を得ることができた。これを基に体積制約下で高性能な車体構造を設計することが可能になる。は正規化した密度分布の標準偏差値であり下式で表すことができる。ρaveは平均密度,Nは要素数である。

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