△○○××Cold~1470○Hot~18002.2 ラージ商品群ボディー構造の進化 ラージ商品群では操縦安定性と衝突安全性の更なる向上を目指した。衝突性能においては各部品の受けもつ荷重配分が増えるため,従来ボディー構造のままで性能を満足するには補強部品を追加し,製品の板厚を厚くするなどして重量が増加してしまう。そこで「性能」と「軽量化」を両立するため,開発部門との共創により材料の高強度化と部品の小型化を推進し,新たなボディー構造を造り込んだ。 Fig. 2はラージ商品群のCXḋ60における内製ホットスタンプ部品である。今回はBピラーレインフォースメント(以下,Bピラーレイン)を例に説明する。この部品の衝突における要件は,上段部は乗員生存空間を確保するために変形させず,下段部は衝突エネルギーを吸収するために積極的に変形させることが必要である。これらを具現化する技術として,上段部へ稜線補強構造(以下,パッチワーク構造),下段部へテーラード構造を採用した(Fig. 3)。―214―2. ラージ商品群への適用に向けてa)Cold stampingb)Hot stampingB-pillar reinforcement Hinge pillar reinforcement Table 1 Characteristics of Stamping Method(MPa)ProductivityFormabilityFig. 2 In-house Hot Stamping Parts in CX60Strength Shape fixabilityPress machine capabilityHighLow2.1 冷間プレスとホットスタンプ 高強度な材料を使用することで部品の板厚を薄くし,ボディー重量を低減する手法の適用拡大が進んでいる。MAZDA3においては980MPa級以上の超ハイテン材の使用比率を約30%と飛躍的に上げることで,衝突安全性と軽量化を両立した(1)。 ボディーの高強度化を達成するための技術には主に冷間プレスとホットスタンプの2つの工法があり,それぞれに特徴をもっている(Fig. 1)。このように生産方法に選択肢があり,部品の機能や形状ごとに適切な工法を採用することはマツダの車造りにおいて強みとなる。それぞれの工法の優位性を活かし,改善を積み重ねることで技術を深化させる取り組みが重要となる。Fig. 1 Comparison of Cold Stamping and Hot StampingFig. 3 Structure of Bpillar産性改善が求められる。そこで,日本製鉄(株)と共同で高効率ホットスタンプ技術の開発に取り組んできた。本稿では,この開発における部品構造の進化による軽量化及び生産性向上について紹介する。 冷間プレスは鋼板の成形や穴あけ(以下,ピアス),外形の切断(以下,トリム)などを3工程程度に分けて加工している。また,Table1に示すように生産性が非常に高い。MAZDA3のボディーでは1310MPa級超ハイテン材の量産化に世界で初めて成功しており(2),更に今回のラージ商品群に向けては1470MPa級の量産導入を実現した。 一方でホットスタンプは,加熱炉で約900℃まで熱した軟らかい状態の材料をプレス成形するため,複雑な形状にも対応できる成形性の良さをもつ。また,冷間プレス部品では成形した製品を金型から取り出すと,曲げた状態から元に戻ろうとするスプリングバックが発生するが,ホットスタンプではこの現象がないため形状凍結性に優れている。成形直後に金型内でパネルを急冷して焼入れを行うことで1300MPa,1500MPa及び1800MPa級の高強度を得ることができる。 これまでの上段部の稜線補強は,それぞれ成形された本体部品と別部品をSW溶接することで対処してきた。これに対してFig. 4のパッチワーク構造は,材料段階でスポット溶接した後に成形することで溶接機の干渉等による制約を回避し,部品を小型化した(Fig. 5)。
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