マツダ技報 2022 No.39
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―222―3. 自動車車体構造への適用事例(a)Boundary condition(a)Outer Frame(b)Cross-section(b)Inner Frame3.1 適用結果 Fig. 12に適用結果のうち,エネルギー流れの差異が顕著であったフロントピラーとサイドシルについて,アウターフレームとインナーフレームのU*値が同等の領域を示している。青色のコンタが同じU*値の範囲を示しており,インナーフレームでは山部が顕著になっている状態(図中〇印)に対して,アウターフレームでは山部が見られない。自動車の車体構造の場合,同一フレーム内の稜線部に同時にエネルギーが流れるように設計されており,アウターフレームとインナーフレームで山部が顕著になるはずであるが,本結果では,アウターフレームにエネルギーが流れておらずアウターフレームが機能していないと考えられる。このように,本来,機能すべき部品がU*値の動的可視化によって,性能向上に寄与する部位として発見可能である。Fig. 12 Application Result of the Proposed MethodFig. 7 Verification ModelFig. 8 Application Result of the Proposed MethodFig. 9 Inhibition Value of Weight ReductionFig. 10 Weakness StructuresFig. 11 Boundary Conditionは,アウターフレームにエネルギー流れが形成されていない,つまり,アウターフレームが機能していないことを意味しているといえる。通常,(設計者が求める機能として)稜線部には同等にエネルギーが流れることが望ましく,期待されるエネルギー流れと,実際の流れとの差異に着目することで性能向上に寄与する部位を効率的に発見することができる。 自動車車体構造への適用例として,MAZDA3(有限要素モデル節点数:約60万点)に本手法を適用した事例を紹介する。近藤らの研究(4)において,各性能で軽量化のしにくさ(軽量化阻害度)を算出した結果,軽量化のボトルネックとなる性能は,特に,乗り心地に係る固有値であることが分かっている(Fig. 9)。また,固有値を含むボトルネックとなる性能間の背反関係から,Fig. 10に示す領域を含む車体の側面構造が重点的に構造対策する領域であることが分かっている。そこで,本検証では,性能として固有値を,領域として車体の側面構造を対象とする。なお,U*解析は,有限要素法の静解析で行うため,Fig. 11のように車体前側のサスペンションと車体との取り付け部にねじり荷重(強制変位)を与え,車体後方のサスペンションと車体との取り付け部を固定した境界条件で固有値のねじり変形モードを再現している。U*値の領域分割数は40である。なお,自動車車体構造の各部位の名称は,ハンドブック(8)から引用している。

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