マツダ技報 2022 No.39
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―223―4. おわりに(a)Setting area(b)Cross-section3.2 構造対策検討 3.1節の妥当性検証として,機能していないアウターフレームへエネルギー流れを形成するため,Fig. 13のようにアウターフレームとインナーフレームの稜線同士をつなぐ構造対策を行い,性能検証とアウターフレームへのエネルギー流れの検証を行った。まず性能について対策前,後のねじり固有値の性能を評価した結果をFig. 14に示す。対策前の性能を100 %とした時,構造対策により6 %性能向上しており,対策により大幅に性能向上している。また,主要な車体骨格を対象とした軽量化検討により,約14kgの板厚低減効果があることも分かっている(Fig. 15)。続いてエネルギー流れについて,対策構造に本手法を適用した結果のうちフロントピラーの例をFig. 16に示すが,Fig. 12で山部が顕著でなかったアウターフレームに山部が形成されており(図中〇印),アウターフレームへエネルギーが流れていることが分かる。Fig. 17に,本境界条件での対策前後の歪エネルギー分布と対策部位である車体側面構造の歪エネルギーの総和を示すが,対策前後で歪エネルギー量は7%以上と大幅に改善し,更には,対策前には発生していなかったアウターフレームのフロントピラー前部・後部に歪エネルギーが発生している(図中〇印)。これは,アウターフレームにエネルギー流れが形成された結果であり,本結果からも,提案手法は性能向上に寄与する部位の効率的な発見が可能であるといえる。 また,Fig. 18に,固有値の横曲げ変形モード,縦曲げ変形モード,側面衝突を含む性能評価結果を示すが,今回,対象とした全ての性能が向上しており,基本性能である剛性性能の向上に寄与する部位の発見により,複数の性能を同時に満足する車体構造を導出できる可能性があると考える。Fig. 13 Countermeasure StructureFig. 14 Evaluation Result of Torsion EigenvalueFig. 15 E■ects of Weight Reduction by CountermeasuresFig. 16 Result of Energy Flow before and after Fig. 17 Result of Total Strain Energy and DistributionCountermeasuresFig. 18 Result of Other Evaluation 今回,構造内部のエネルギー流れから性能向上に寄与する部位を効率的に特定する技術として,U*値を等分割し,U*値を動的に可視化する可視化手法を開発した。軽量化のボトルネックである固有値のねじり変形モードを対象に,本手法を自動車の実構造に適用した結果,フロントピラー,サイドシルのアウターフレームとインナーフレームとの周囲に対して剛性の高い山部の顕著性から性能向上に寄与する部位を発見した。更には,構造対策

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