マツダ技報 2022 No.39
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―225―1. はじめにA door panel structure that disperses the load in a side surface collision is newly developed to achieve both weight reduction and high safety for reducing carbon dioxide emissions. The load transmission from the door panel to the vehicle body frame occurs when the door panel is deformed and comes into contact with the vehicle body frame. Therefore, it is necessary to analyze non-linear time series data to elucidate the load transmission path, and we clarified it using a graph structured analysis method. The key for the formation of the load transmission path is the contact between the door panel and the vehicle body frame in the rear body. It is also clarified that the door panel part that contributes to the contact is not only the rear door side sill but also the front door side sill.analysis, Impact attenuationTechnical Research CenterCrash Safety Development Dept.Tomohito OkuyamaMasanori HondaMitsugu MeraKyohei YukitaBody Development Dept.Isamu KizakiKey words: Vehicle development, Safety, Computer aided engineering, Crash safety, Structural member Clarification of Impact Load Transfer Path Using Machine Learning論文・解説37 近年,二酸化炭素の排出量低減に向けて,さらなる車両の軽量化が必須となる一方,乗員の安全性を確保するため,高い衝突安全性能が求められている。 従来,側面の衝突安全性の確保は,車体フレームのBピラーに局所的な荷重が入力されることを起点に,ルーフやフロアへの荷重伝達や,変形モードを制御する骨格構造により実現している。そのため,Bピラーをはじめとした車体フレームの骨格部材は,高強度鋼板や樹脂に*1~3  技術研究所 *5  衝突性能開発部 奥山 智仁*1本田 正徳*2目良 貢*3雪田 恭兵*4木﨑 勇*5よるフレーム補強構造(2),薄板座屈理論に基づいた断面技術(3)を用いて,軽量化と高強度化を両立してきた。一方,荷重が伝達する経路形成は,車格による差異は多少あるが,大きく変わっていない。そこで,側面衝突時に最初に衝突体と接触するドアのパネルを活用し,車体フレームへの荷重を分散させるコンセプトを考案した。 ドアパネルは,衝突時に大きく変形し,車体フレームと接触しながら荷重を伝達するため,変形挙動の制御が荷重分散のキーとなる。また,車体フレームへ伝達する荷重の大きさやモードは,接触するタイミングや部位に*4  ボデー開発部 要 約 二酸化炭素の排出量削減を目的とした軽量化と高い安全性の両立を実現するため,従来は側面衝突時に荷重が集中する車体フレームの高強度化を図っていたが,新たに荷重を分散するドアパネル構造を考案した。ドアパネルから車体フレームへの荷重伝達は,ドアパネルの変形により車体フレームと接触することで生じる。そのため,荷重伝達経路の解明には,非線形な時系列データの分析が必要であり,機械学習を用いたグラフ構造化分析手法(1)により明らかにした。荷重伝達経路のポイントは,リアボディー部におけるドアパネルと車体フレームの接触である。更に,接触に寄与するドアパネル部位は,リアドアだけでなく,フロントドアのサイドシル部であることを明らかにした。Abstract機械学習による衝突荷重伝達経路の解明

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