ERTR − ―236―1. はじめにInput Internal short circuit resistance. Process (1)Joule heat.(2)Material decomposition reaction heat. (3)Solid heat transfer.Output Temperature of cell each part. =÷ IVR×2j=QIm==−(1)aaAedadtQMk2. シミュレーション手法・実験方法2.1 セル熱暴走シミュレーションモデル Fig. 1に今回構築したセル熱暴走シミュレーションモデルの概略図を表す。セルの内部短絡抵抗を入力情報として,セル内部で発生するジュール熱,材料熱分解反応熱と,セル内部から表面へ固体伝熱を計算することで最終的にセル各部温度を出力するモデルである。Fig. 1 Schematic Diagram of the Simulation Model➀ ジュール熱の計算モデル ジュール熱は式(1)のオームの法則,式(2)のジュールの法則を用いて計算している。(1)(2)dadt マツダは,2017年に,2030年を見据えた技術開発の長期ビジョン「サステイナブル“Zoom-Zoom”宣言2030」を公表し,車のもつ魅力である「走る歓び」によって,「地球」「社会」「人」のそれぞれの課題解決を目指している。CO2排出量低減に向けて,電気駆動車の燃費,電力消費率を向上させるためには,車両に搭載される電池を高エネルギー密度化,高出力密度化することが有効である。一方で近年,電気駆動車に搭載されるリチウムイオン電池の高エネルギー密度化,高出力密度化に伴い,異常時の電池の発火リスクが高まるなどの安全性低下が懸念されている。特にLiNi0.8Mn0.1Co0.1O2等のニッケル比率の高い層状岩塩型の活物質を正極に用いた電池は,エネルギー密度が高いが,内部短絡などの異常発生時において発熱量が大きいため安全性が低下することが報告されており(1),これら材料を含む車載用電池パックの安全性の確保が課題となっている。車載用電池パックは,電池の最小単位であるセルが複数個にわたって直並列接続されたモジュールと充放電制御システムから構成されており,異常時において,セル1個の熱暴走を起点に隣接セルに熱連鎖が生じると,複数セルが燃焼し,車両火災に発展する可能性がある。従って車載用電池パックの安全性を確保するには,セル間の熱連鎖の抑制が重要である。昨今の法規要件としても,中国において,熱連鎖試験項目を含む車載用電池パックの安全性基準GB38031-2020(2)が21年1月より施行されている。このような安全性確保の課題に対して,モデルシミュレーションを活用し,リアルワールドの多様なシーンを想定した電池の安全性を検証して机上設計を行うことで,開発の手戻り削減などの効率化が期待できる(3)。くわえて,その実現には材料~セル/モジュール/パックのマルチスケールで安全性を予測する技術と,多様なシーンを短期間で網羅的に検証できるよう計算を高速化する技術が必要である。そこでマツダでは上記技術開発に取り組んでおり,本稿ではその取り組みの成果として,活物質の組成の違いがセル異常時の発熱量に及ぼす影響を明らかにし,異常時の電池の温度挙動を素早く計算できる1次元シミュレーション技術を構築した事例を紹介する。 ここに,V:セル電圧[V] I:短絡電流[A] R:内部短絡抵抗[Ω] Qj:ジュール熱[W]➁ 材料熱分解反応熱の計算モデル 材料熱分解反応熱は式(3),式(4)の反応速度式で計算している。(3)(4) ここに,a:反応物の比率[-] t:時間[s] A:頻度因子[1/s] E:活性化エネルギー[J/mol] R:気体定数[J/mol/K] T:温度[K] Qm:材料熱分解反応熱[W] M:電極合材重量[kg] k:単位重量当たりの発熱量[J/kg] 今回,電極合材中の活物質種の違いによる反応熱の変化を考慮できるよう,活物質固有の方程式パラメーター(A,E)を導出することを目的に,電極合材の熱安定性評価実験を実施した。具体的には,正極合材の活物質として,LiNix/10Mny/10Coz/10O2 (NMCxyz, x + y + z = 10)の組成違い,負極合材の活物質としてハードカーボン,グラファイトを対象に,各活物質種が異常時の発熱量に及ぼす影響を評価するための実験を行った。実験方法としては,Table 1に示す試作セルを作製し,セルの充電状態を調整後,グローブボックス内にてセルを解体して,セルから取り出した正極合材,負極合材それぞれの示差走査熱量(Di■erential scanning calorimetry, DSC)測定を実施した。
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