マツダ技報 2022 No.39
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ρC➂ 固体伝熱の計算モデル 固体伝熱の計算は,熱伝導を式(5)のフーリエの法則,熱伝達を式(6)のニュートンの冷却則で計算している。今回,固体伝熱の計算実行モデルとして3次元,0次元,1次元の3種類のモデルをそれぞれ構築した。(5)(6)) ―237―=∇+2∂T∂ambCell No.CathodeNMC532NMC532NMC622NMC811AnodeHard carbonGraphiteGraphiteGraphiteSeparatorElectrolyteABCD=tTp−λ PolyolefinCarbonatec. 固体伝熱の1次元モデル ➂b.に示すような0次元モデルは,➂a.に示す3次元モデルに比べ,一般的に計算所要時間が短いというメリットはあるが,計算精度は劣るというデメリットがある。そこで今回,計算時間の短縮と計算精度の向上の両立を目的に1次元モデルを構築した。具体的には0次元のモデルをベースに,熱源である電極体と,その他部材との熱伝導をより精密に計算できるよう,電極体を3分割のブロックで表すことで伝熱挙動を1次元的に計算するモデルを構築した(Fig. 4)。Table 1 Specification of Test CellsTQ(qhSTFig. 2 Geometry of 3D Simulation Modelb. 固体伝熱の0次元モデル セルの各部材を単一ブロックで模擬してブロック間の伝熱を計算するモデルを構築した(Fig. 3)。Fig. 3 Image of 0D Simulation ModelFig. 4 Image of 1D Simulation Model2.2 セル釘刺し内部短絡シミュレーション 構築したシミュレーションモデルを用いて,Table 2に示す仕様のパウチ型セルを対象に釘刺し内部短絡シミュレーションを実施した。釘刺しの条件をTable 3に示す。今回,計算機には4コア4スレッド,定格クロック3.4 GHz,メモリー32GBのマシンを使用し,固体伝熱モデルが3次元,0次元,1次元モデルそれぞれの場合でシミュレーションを行って各モデルの精度と計算所要時間を比較した。また,シミュレーション結果の妥当性確認を行うために,同様の仕様のセル,条件にて実機の釘刺し試験を実施した。 ここに,ρ:密度[kg/m3]     Cp:比熱[J/kg/K]     λ:熱伝導度[W/m/K]     Q:内部発熱[W/m3]     q:伝熱量[W]     h:熱伝達率[W/m2/K]     S:表面積[m2]     Tamb:環境温度[K]     T:温度[K]a. 固体伝熱の3次元モデル 実物のセルの形状に基づいてモデルジオメトリーを作成するとともに3次元にメッシュ分割し,有限要素法を用いて熱伝導,熱伝達を計算する3次元モデルを構築した(Fig. 2)。

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