マツダ技報 2022 No.39
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- ―238―Nail (steel) - - Upper cover (steel) + Busbar (Al or Cu) Cell 1 + Separator (polypropylene) Cell 2 Separator (polypropylene) + Cell 3 Busbar (Al or Cu) Lower case (steel) ABPouch200×19520NMC532Hard carbonGraphitePolyolefinCarbonateCenter of cell surfaceSUS, φ3, Length 65mm1/2 of cell thickness4.2Vatmosphere3. 実験結果・シミュレーション結果3.1 電極合材の熱安定性評価実験結果 今回計測した電極合材のDSC測定結果として各活物質Table 2 Specification of CellsCell No.TypeSize[mm]Capacity[Ah]CathodeAnodeSeparatorElectrolyteTable 3 Nail Penetration Test ConditionsNail positionNail specificationsNail depthCell voltage before testCell temperature before test25℃Test environment2.3 モジュール内の熱連鎖シミュレーション 今回開発した1次元の固体伝熱モデルをモジュールスケールに拡張し,セルを3並列接続したモジュール(Fig. 5)を想定して,最端セルのみを釘刺しした場合の熱連鎖シミュレーションを実施した。モジュール内のセルはTable 2のNo.Bを想定した場合と,同セルの正極活物質をNMC622,NMC811に変更した場合とでシミュレーションを実施し,正極活物質種の違いによる熱連鎖挙動の違いを検証した。更に,モジュールの安全性向上を目的にセル間の伝熱への寄与が大きいと想定されるセル間セパレーターの材質を変更した際の熱連鎖挙動の変化を検証した。Fig. 5 Image of the Module Thermal Propagation TestFig. 6 Results of DSC Measurement (a) Positive 3.2 セル釘刺し内部短絡シミュレーション結果 今回開発したセル熱暴走シミュレーションモデルを用いて,セル釘刺し時の熱暴走挙動のシミュレーション結果の妥当性を確認した。Fig. 7にセルAとセルBを対象に,固体伝熱モデルが3次元,0次元,1次元それぞれの場合でシミュレーションを実施して得られたセル表面平均温度の時間変化と,実機試験から得られた同時間変化の比較図を示す。また,Table 4に各固体伝熱モデルのシミュレーション予実差と,シミュレーション所要時間を示す。 各固体伝熱モデルを用いた場合のシミュレーション結果をそれぞれ確認すると,まず3次元モデルでは実機試験結果との予実差が1.7%と非常に小さく高精度な計算が可能な一方で,計算所要時間は540sかかるという結Electrode Active Materials (b) Negative Electrode Active Materialsにおける発熱スペクトルと各発熱ピーク温度,単位重量当たりの発熱量の積算値をFig. 6に示す。正極合材の結果について,活物質がNMC532,NMC622,NMC811の場合を比較すると,Ni比率が高まるにつれ,より低温で反応の発熱ピークを迎えることに加え,単位重量当たりの発熱量の積算値が大きくなることから,熱安定性が低下する傾向にある。特にNMC532に対し,NMC811の発熱量は33%増加することが明らかとなった。負極合材の結果について,活物質がハードカーボンとグラファイトの場合で比較すると,単位重量当たりの発熱量の積算値はハードカーボンの方が約2.6倍大きい一方で,発熱ピーク温度はグラファイトの方が低いということが明らかとなった。

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