マツダ技報 2022 No.39
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3rdstep idealCw=0.831ststep status 1 i ]tnI// etnI[00 0[[ Fig. 4 には,新たに考案した2段エッグ燃焼室を用いた混 合気の空間分布制御による部分予混合燃焼の考え方を示す。マツダ技報 前段噴霧を2段エッグ燃焼室の上下空間に分割配置させ,前段噴霧の既燃ガスと後段噴霧との干渉を抑えることで, 後段噴霧があらかじめ混合した状態で着火・燃焼すること をねらいとしている。本燃焼コンセプトを「空間制御予混 合燃焼」(DCPCI:Distribution Controlled partially Premixed Compression Ignition)と称する。 Compression ratioEngine speed [rpm]新燃焼コンセプトについてCFD(CONVERGE ver.2.3) Duration155°Fuel amount [mm3/str]を用いて検証した。Table 1にエンジン諸元及び計算条件を Temperature at IVC [K]示す。ラベル名には,噴射パターンと燃焼室形状,噴孔仕Inj. timing (SOI) Pressure at IVC [kPa] [deg.ATDC]Fig. 5 Comparison of Piston Bowl Shape 様の各々について,従来仕様と新仕様を“CDC”と“DCP”,Engine speed “SL”と“DZ”,”133”と”106”と略記している。EGR率は各条Dual Zone Egg-Shaped 件で同じ排出NOxレベルになるように調整した。Fig. 5 に(“DZ” in label)は,燃焼室形状とノズル仕様の比較を示す。 φ0.106 x 10 Inj. pressure [Mpa]Fig. 6 には,計算結果の圧力及び熱発生率履歴を示す。Mixture Distribution for Medium-load Conditions 従来燃焼のCDC_SL_133では,遠隔パイロットやアフター 噴射により,三つのピークをもつ熱発生率の波形となって/ Inj. quantity [mm3] おり,燃焼期間が長くなっている。これに対して,DCPCI用の噴射パターンを適用したDCP_SL_133とDCP_DZ_106 では,TDC付近での一山の熱発生率となっており,燃焼期 間が短縮されていることが分かる。 Fig. 7 には,燃焼期間の代表指標として燃焼率 (Mass Fraction of Burned-fuel:MFB) が10%から90%に達するま での期間を表すMFB10-90とSootの計算結果を示す。従来の燃焼室形状とノズル仕様のままDCPCI用の噴射パターン Zone Egg-shaped Bowlを適用したDCP_SL_133では,従来燃焼のCDC_SL_133と Dual Zone Egg-shaped Bowl 比べて燃焼期間が短くなっている。また,2段エッグ燃焼 155°室と小径ノズルを適用したDCP_DZ_106では更に燃焼期間 が短くなっている。これは,DCP_DZ_106ではDCP_SL_133と比べて着火遅れ期間が長く(MFB10が遅 く),後燃え期間が短縮された(MFB90が早い)ことに起 因する。 また,Sootの計算結果では,従来の燃焼室形状とノズル 仕様のまま噴射パターンのみをTDC付近に寄せた DCP_SL_133の場合にはSootが悪化するのに対して,2段エ]ッグ燃焼室と小径ノズルを用いたDCPCIではSootが大幅にa pM低減できている。 Fig. 8 には,当量比分布の計算結果を示す。各条件の各Fig. 6 Calculated Cylinder Pressure and Heat Release 噴射段の噴射終了(EOI)時期における噴射軸断面である。09-0 噴射量が比較的に多い1段目と3段目の噴霧に注目して考察1B0.0F140Mする。 CDC_SL_133 とDCP_DZ_106 の1段目噴射から,  Fig. 7には,燃焼期間の代表指標として燃焼率(Mass 120従来の燃焼室で噴霧をスキッシュエリアとキャビティ領域 100 Fraction of Burned-fuel: MFB)が10%から90%に達すに分配させるためには早期噴射を行う必要がある一方,新80Fig. 7 Calculated Combustion Duration and Soot Emission 60燃焼室ではTDC近傍の噴射でも噴霧が燃焼室の上下空間にるまでの期間を表すMFB10-90とSootの計算結果を示40分配できることが分かる。3段目噴射に注目すると,従来す。従来の燃焼室形状とノズル仕様のままDCPCI用の噴20の燃焼室のまま噴射のみTDC付近に寄せたDCP_SL_133で0射パターンを適用したDCP_SL_133では,従来燃焼のは,前段噴霧の大半が燃焼室キャビティに分布しており,-20-3- 9CDC_SL_133と比べて燃焼期間が短くなっている。また,そのリッチ領域と3段目噴射とが強く干渉している様子が62段エッグ燃焼室と小径ノズルを適用したDCP_DZ_10630では更に燃焼期間が短くなっている。これは,DCP_-40-3- DZ_106ではDCP_SL_133と比べて着火遅れ期間が長く(MFB10が遅く),後燃え期間が短縮された(MFB90が早い)ことに起因する。 Fig. 6には,計算結果の圧力及び熱発生率履歴を示す。従来燃焼のCDC_SL_133では,遠隔パイロットやアフター噴射により,三つのピークをもつ熱発生率の波形となっており,燃焼期間が長くなっている。これに対して,DCPCI用の噴射パターンを適用したDCP_SL_133とDCP_DZ_106では,TDC付近での一山の熱発生率となっており,燃焼期間が短縮されていることが分かる。erusserP].[ ged etaRRRH]apM/J[ [ ].erusserP].ged/3mm .jnIgedged/J[ ged tooS]. .j].[ [ erusserP t].ged[ 09-01BFMRRH].ged].ged/J[ eaR .jged[ 09-01BFM t].3mm―16―-3- φ86mm×94(“CDC” in label) (“SL” in label) φ0.133×10 (“133” in label) ]ged/J[ RRH]ged/J[ RRH -157°gμaRRRHgμooSgμooSCDC_SL_133DCP_SL_133DCP_DZ_106CDC_SL_133DCP_SL_133DCP_DZ_106w PmaxetCw=0.6Cw=0.40.980.99olume [-]t1ststep status.70.80.965707580e [℃℃]olumerePreviousPCIAir EntrainmentTargetDurationTDCNewn g No.39(2022) 示す。ラベル名には,噴射パターンと燃焼室形状,噴孔仕様の各々について,従来仕様と新仕様を“CDC”と“DCP”, “SL”と“DZ”,”133”と”106”と略記している。EGR率は各条 件で同じ排出NOxレベルになるように調整した。Fig. 5 に は,燃焼室形状とノズル仕様の比較を示す。 ]gShort Comb. eFig. 6 には,計算結果の圧力及び熱発生率履歴を示す。d/Fig. 4 には,新たに考案した2段エッグ燃焼室を用いた混J[ R従来燃焼のCDC_SL_133では,遠隔パイロットやアフター Fig. 4には,新たに考案した2段エッグ燃焼室を用いReH合気の空間分布制御による部分予混合燃焼の考え方を示す。u 噴射により,三つのピークをもつ熱発生率の波形となってqた混合気の空間分布制御による部分予混合燃焼の考え方r前段噴霧を2段エッグ燃焼室の上下空間に分割配置させ,o Tおり,燃焼期間が長くなっている。これに対して,DCPCIを示す。前段噴霧を2段エッグ燃焼室の上下空間に分割e前段噴霧の既燃ガスと後段噴霧との干渉を抑えることで,Short Comb. n用の噴射パターンを適用したDCP_SL_133とDCP_DZ_106配置させ,前段噴霧の既燃ガスと後段噴霧との干渉をg後段噴霧があらかじめ混合した状態で着火・燃焼すること nでは,TDC付近での一山の熱発生率となっており,燃焼期E抑えることで,後段噴霧があらかじめ混合した状態でをねらいとしている。本燃焼コンセプトを「空間制御予混 間が短縮されていることが分かる。 着火・燃焼することをねらいとしている。本燃焼コンセ合燃焼」(DCPCI:Distribution Controlled partially Fig. 7 には,燃焼期間の代表指標として燃焼率 (Mass プトを「空間制御予混合燃焼」(DCPCI Distribution Premixed Compression Ignition)と称する。 Fraction of Burned-fuel:MFB) が10%から90%に達するまControlled partially Premixed Compression Ignition)と 新燃焼コンセプトについてCFD(CONVERGE ver.2.3)での期間を表すMFB10-90とSootの計算結果を示す。従来称する。 を用いて検証した。Table 1にエンジン諸元及び計算条件をの燃焼室形状とノズル仕様のままDCPCI用の噴射パターン 示す。ラベル名には,噴射パターンと燃焼室形状,噴孔仕を適用したDCP_SL_133では,従来燃焼のCDC_SL_133と 様の各々について,従来仕様と新仕様を“CDC”と“DCP”,比べて燃焼期間が短くなっている。また,2段エッグ燃焼 “SL”と“DZ”,”133”と”106”と略記している。EGR率は各条室と小径ノズルを適用したDCP_DZ_106では更に燃焼期間 件で同じ排出NOxレベルになるように調整した。Fig. 5 にが短くなっている。これは,DCP_DZ_106では は,燃焼室形状とノズル仕様の比較を示す。 DCP_SL_133と比べて着火遅れ期間が長く(MFB10が遅Restrain interference by dividing sprayintoFig. 6 には,計算結果の圧力及び熱発生率履歴を示す。く),後燃え期間が短縮された(MFB90が早い)ことに起upper & lower zone 従来燃焼のCDC_SL_133では,遠隔パイロットやアフター因する。 Fig. 4 New Combustion Concept by Means of Dual 噴射により,三つのピークをもつ熱発生率の波形となってまた,Sootの計算結果では,従来の燃焼室形状とノズルFig. 4 New Combustion Concept by Means of おり,燃焼期間が長くなっている。これに対して,DCPCI仕様のまま噴射パターンのみをTDC付近に寄せた 用の噴射パターンを適用したDCP_SL_133とDCP_DZ_106DCP_SL_133の場合にはSootが悪化するのに対して,2段エ 新燃焼コンセプトについてCFD(CONVERGE ver.2.3)では,TDC付近での一山の熱発生率となっており,燃焼期ッグ燃焼室と小径ノズルを用いたDCPCIではSootが大幅にを用いて検証した。Table 1にエンジン諸元及び計算条件低減できている。 間が短縮されていることが分かる。 -2- を示す。ラベル名には,噴射パターンと燃焼室形状,噴Fig. 8 には,当量比分布の計算結果を示す。各条件の各Fig. 7 には,燃焼期間の代表指標として燃焼率 (Mass 孔仕様の各々について,従来仕様と新仕様を“CDC”と噴射段の噴射終了(EOI)時期における噴射軸断面である。Fraction of Burned-fuel:MFB) が10%から90%に達するま“DCP”,“SL”と“DZ”,“133”と“106”と略記してい噴射量が比較的に多い1段目と3段目の噴霧に注目して考察での期間を表すMFB10-90とSootの計算結果を示す。従来る。EGR率は各条件で同じ排出NOxレベルになるようする。 CDC_SL_133 とDCP_DZ_106 の1段目噴射から,の燃焼室形状とノズル仕様のままDCPCI用の噴射パターンに調整した。Fig. 5には,燃焼室形状とノズル仕様の比従来の燃焼室で噴霧をスキッシュエリアとキャビティ領域を適用したDCP_SL_133では,従来燃焼のCDC_SL_133と較を示す。に分配させるためには早期噴射を行う必要がある一方,新比べて燃焼期間が短くなっている。また,2段エッグ燃焼燃焼室ではTDC近傍の噴射でも噴霧が燃焼室の上下空間に室と小径ノズルを適用したDCP_DZ_106では更に燃焼期間分配できることが分かる。3段目噴射に注目すると,従来が短くなっている。これは,DCP_DZ_106ではの燃焼室のまま噴射のみTDC付近に寄せたDCP_SL_133でDCP_SL_133と比べて着火遅れ期間が長く(MFB10が遅CDC_SL_133DCP_SL_133DCP_DZ_106は,前段噴霧の大半が燃焼室キャビティに分布しており,く),後燃え期間が短縮された(MFB90が早い)ことに起そのリッチ領域と3段目噴射とが強く干渉している様子が因する。 また,Sootの計算結果では,従来の燃焼室形状とノズル仕様のまま噴射パターンのみをTDC付近に寄せたDCP_SL_133の場合にはSootが悪化するのに対して,2段エッグ燃焼室と小径ノズルを用いたDCPCIではSootが大幅にEGR rate [%]低減できている。 No.39(2022) Fig. 3 Target of Combustion Duration and 赤の縦線[deg.ATDC]/ Inj. quantity [mm3]Table 1 Engine Specification and Calculation Condition 分かる。これに対して,DCP_DZ_106では,前段噴霧が燃Bowl shape焼室の上下に分割され,3段目噴霧の前段噴霧との干渉がCDC_SL_133低減されている。この前段噴 -157°Nozzle typeCompression ratio Engine speed [rpm] Fuel amount [mm3/str]Temperature at IVC [K] Pressure at IVC [kPa]Stepped-Lip Egg-shapedφ0.133 x 10 –155° 8.0 6.0 4.0 2.0 0.0140 120 100 8060 40 20φ0.133 x 10 –155° 0-20 9 63 0 Fig. 5 Comparison of Piston Bowl Shape -4030 Fig. 6 Calculated Cylinder Pressure Fig. 7 Calculated Combustion Duration and Soot Emission Label nameBore x StrokeEGR rate [%]Combustion type10.0Inj. timing (SOI) apM[deg.ATDC]Bowl shapeNozzle typeStepped-Lip Egg-shaped10.08.06.04.02.0CDC_SL_133DCP_SL_133DCP_DZ_106CDC_SL_133DCP_SL_133DCP_DZ_10625.4Previous10.0Label nameBore x StrokeCombustion typeInj. pressure [Mpa]/ Inj. quantity [mm3]Bowl shapeNozzle type155°8.06.04.02.00.0140120100806040200CDC_SL_133-2096DCP_SL_1333325.4DCP_DZ_106m0m-40PreviousEGR rate [%]RateFig. 6 Calculated Cylinder Pressure and Heat Release Rate Emission2nd : -16 / 23rd : 1 / 114th : 13 / 3Stepped-Lip Egg-Shaped(“SL” in label)φ0.133 x 10 -155°14.4 : 11500221504001st : -13 / 14.52nd : -4 / 1.51353rd : 0 / 5454th : 6 / 1and Injector Specification diesel combustion(“CDC” in label)CDC_SL_133DCP_SL_133PreviousDCP_DZ_106Stepped-Lip Egg-shapedφ0.133 x 10 –155°1st : -26 / 62nd : -16 / 23rd : 1 / 114th : 13 / 3Stepped-Lip 157°Egg-Shaped(“SL” in label)φ0.133 x 10 Fig. 5 Comparison of Piston Bowl Shape -155°(“133” in label)and Injector Specification Dual-Zone Egg-shapedφ0.106 x 10 –157°157°-30-20-10Crank Angle [deg.ATDC]and Injector Specification and Heat Release Rate -30-20-10Crank Angle [deg.ATDC]DCP_SL_133φ86 mm x 9414.4 : 1(“133” in label)150022400135Dual-Zone Egg-shapedφ0.106 x 10 –157°38Conventional diesel combustion(“CDC” in label)1st : -26 / 62nd : -16 / 23rd : 1 / 11384th : 13 / 3SpecificationConventional Stepped-Lip Egg-Shaped(“SL” in label)φ0.133 x 10 -155°(“133” in label)CDC_SL_133DCP_SL_133DCP_DZ_106-3017.8Fig. 6 Calculated Cylinder Pressure Crank Angle [deg.ATDC]-20-1025.417.811.4CDC_SL_133DCP_SL_133DCP_DZ_106CDC_SL_133DCP_SL_133DCP_DZ_1062nd : -4 / 1.53rd : 0 / 54th : 6 / 1Dual Zone Egg-Shaped(“DZ” in label)φ0.106 x 10(“106” in label)Table 1 Engine Specification and Calculation Condition 分かる。これに対して,DCP_DZ_106では,前段噴霧が燃焼室の上下に分割され,3段目噴霧の前段噴霧との干渉がCDC_SL_133低減されている。この前段噴 Fig. 7 Calculated Combustion Duration and Soot Emission DCP_DZ_106DCPCI(“DCP” in label)-157°1501st : -13 / 14.52nd : -4 / 1.5Dual-Zone Egg-shaped3rd : 0 / 5φ0.106 x 10 –157°4th : 6 / 1NewDual Zone Egg-Shaped(“DZ” in label)φ0.106 x 10(“106” in label)10204010203040NewDCP_SL_13345φ86 mm x 94DCP_DZ_106DCPCI(“DCP” in label)(“106” in label)4010205.6 2.4 0.0 5.6 302.4 and Heat Release Rate 0.0 5.6 2.4 0.0 Table 1 Engine Specification and Calculation Fig. 8 には,当量比分布の計算結果を示す。各条件の各DCPCI (“DCP” in label)噴射段の噴射終了(EOI)時期における噴射軸断面である。噴射量が比較的に多い1段目と3段目の噴霧に注目して考察する。 CDC_SL_133 とDCP_DZ_106 の1段目噴射から,従来の燃焼室で噴霧をスキッシュエリアとキャビティ領域に分配させるためには早期噴射を行う必要がある一方,新燃焼室ではTDC近傍の噴射でも噴霧が燃焼室の上下空間に分配できることが分かる。3段目噴射に注目すると,従来Dual Zone Egg-Shaped (“DZ” in label) の燃焼室のまま噴射のみTDC付近に寄せたDCP_SL_133でφ0.106×10は,前段噴霧の大半が燃焼室キャビティに分布しており,-157° そのリッチ領域と3段目噴射とが強く干渉している様子が(“106” in label) ConditionFig. 5 Comparison of Piston Bowl Shape and Injector Fig. 7 Calculated Combustion Duration and Soot Crank AngleLabel nameBore×StrokeCompression ratioEngine speed [rpm]Fuel amount [mm3/str]Temperature at IVC [K]Pressure at IVC [kPa]Conventional combustion Combustion typeInj. pressure [Mpa]Inj. timing (SOI) [deg.ATDC]/Inj. quantity [mm3]1st : -26/62nd : -16/23rd : 1/114th : 13/3Bowl shapeNozzle typeCrank AngleCrank AngleEarlier Inj.Later Inj.Earlier Inj.14.4 : 11500224001353845diesel 1501st : -13/14.52nd : -4/1.53rd : 0/54th : 6/1Stepped-Lip Egg-Shaped -155° マツダ技報 157°11.417.811.4Long Comb. Duration

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