(2)特性試験 バッテリーの特性を定量評価するため,エネルギー量であるバッテリー容量のほか,過電圧を求めるための抵抗測定を合わせて行った。容量の測定では,パックの制御電圧Vh=370V,Vl=298Vとし,Constant Power (CP) 充放電を行った。なお,放電容量を測定する直前では,Constant Voltage (CV) 充電を30分ほど行い,放電開始時のバッテリー充電量調整を行った。一方,パックの抵抗測定は,Hybrid pulse power characterization (HPPC) テストマニュアル(5)に基づいた制御サンプリング1分,最大パルス電力80kWの条件で行った。 本特性試験は,充放電サイクル試験の開始(0サイクル目)と試験の終了(500サイクル目)及び試験の中間点(250サイクル目)で3回を実施した。3.2.4 劣化特性の評価試験結果(1)車両用途と定置用の劣化傾向の把握 まず,充放電サイクル試験を500サイクルまで実施し,3回の特性試験の計測データの平均値(CAPave)について解析した。その結果,容量低下の平均は2%であった。電池パックの容量低下の傾向は,マツダが独自に作成した車載用劣化モデル(6)による予測値と同等であった(Fig. 9)。本モデルは,車載用途において容量劣化が に比例して減少することが実験的に確かめられていたが,今回のような定置用途のシステムにおいても適用できることが分かった。上記より,パック単位での容量低下は,車載用途と定置用途では大きな差異はなく,従来の車載用途の劣化モデルを用いることで,事前に定置用として二次利用されるバッテリーの劣化特性を予測することが可能と分かった。(2) 有効容量の定量化a)パック内のセル容量バラツキ Fig. 11に全ての充放電サイクルパターンのバラツキ幅を示す。パック内のセル容量バラツキ幅は,サイクル数の増加に伴って,増加傾向であった。また,リユース開始時の最大バラツキ幅は7%であったが,500サイクルの充放電試験終了後のセル容量の最大バラツキ幅は12%~17%となった。セル容量の最大バラツキ幅17%は,最小バラツキ幅12%の1.4(=17/12)倍の差があった。―245―Fig. 9 Evaluation Test and Model Simulation Results 次に,異なる3つの充放電サイクルパターンにて,それぞれのパターン(B及びC)ごとの2つのパックの容量バラツキを解析した。その結果,バラツキ幅の最大はBパターン(16%)であり,最小はCパターン(13%)であった(Fig. 10)。また,使い方によらず容量のバラツキ幅は,サイクル数の増加に伴って,増加傾向であった。この結果から定置用途も車載用途と同様,使い方や繰り返し充放電によってパック内の容量バラツキ幅が増加すると示された。Fig. 10 Results of Variation Depending on Usaget Fig. 8 Cycle Test Conditions電サイクル試験を500サイクルまで実施して,バッテリーを劣化させる試験とした。また,使い方によるバッテリーの性能差を見るため,異なる3つのパターンの充放電深度にて充放電サイクル試験を行った(Fig. 8)。
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