マツダ技報 2022 No.39
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]hWk/g[ xON0 200 ―23―3. 性能パフォーマンス100Torque [Nm]3004001500rpmNew3.3LWLTC(w/Ex-High)OperationRange2g/kWh3.1 トルク出力性能 新型は最高燃料噴射圧の違いによってHi-power/Lo-powerの2仕様のエンジンを国内向けに設定した。Fig. 3に示すように,最大トルクは550/500Nmを低回転域から幅広い領域で発生し,最大出力は187/170kWを達成した。従来型に対しHi-powerでは最大トルクを22%,最大出力を27%向上させた。これらにより,ラージクラスのSUV車両において実用域から高速域まであらゆるシーンでの力強くトルクフルな加速性能を実現した。Fig. 3 Torque and Power Performance (Engine Only)3.2 燃費性能と排気性能 新型はFig. 4に示すように,燃費率BSFC (g/kWh) に関して,横軸を排気量で正規化した正味平均有効圧BMEP(kPa)で,従来比10%以上改善した。従来と同じ車格の車両で大排気量化していることから,横軸を絶対値トルク(Nm)で整理した場合でも従来比で8%以上改善しており,極軽負荷を除いた実用域で広く競合を凌駕する世界トップの低燃費率を達成した。Fig. 5に正味熱効率マップを示す。実用走行を代表するWLTCモード使用域の大部分で高熱効率40%以上を達成しており,また最高熱効率点も実用走行域としている。 次にFig. 6に横軸を絶対値トルク(Nm)で整理したNOx排出量を示す。従来型に対して特に高負荷域まで大幅なNOx低減を達成し,NOx後処理装置なしで国内RDE(Real Drive Emission)規制に余裕をもって対応するクリーンな排気性能を実現した。Fig. 4 Fuel Consumption Characteristic4.1 燃焼改善と大排気量化 燃料噴射後着火までに噴霧内に十分な空気を取り込んでリーン予混合気を形成し,多段噴射によって燃焼音の悪化を抑え,熱効率最良となるTDC(上死点)付近でクリーンな燃焼を実現する予混合燃焼PCIを従来型エンジンから採用している(7)。しかしながら,従来の燃焼系では燃料噴射量が増大してかつ着火遅れが短くなる中負荷ではリーン予混合気を形成できずに排気が悪化するため,適用は軽負荷に限られていた。これに対して新型エンジンではFig. 7に示す2段エッグ燃焼室(4)を用いた新しい考え方の空間制御予混合燃焼DCPCIを開発し,大排気量化を組み合わせることでこの課題の解決を図った。Fig. 5 Thermal E■ciency MapFig. 6 NOx Characteristic4. ブレークスルー技術Previous2.2L

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