マツダ技報 2022 No.39
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mN , euqroT ssoL noitcirF―26―PreviousEngine Speed 1500 rpm3NmOthersMassBralancerOil PumpPistongroup andConrodbearingsCrankshaftNew4.4 直列6気筒による低振動・静粛性とエンジン音 新型3.3Lエンジンでは直列6気筒機能がもつ低振動と静粛性を更に際立たせる技術と,直列6気筒の心地良いエンジン音をアクセルペダル操作量と連動させる技術により,「走る歓び」をより向上させるこだわりの音創りを行った。 静粛性については現行2.2L直列4気筒で開発してきた燃焼加振力制御やクランクシャフトと主軸受け構造の高剛性化及び個々の部品の共振周波数の分散配置を踏襲し,加えて,音源×主要経路を一か所で集中対応するべくFig. 16に示すカプセルカバーによる車体遮音強化を新たに採用した。カプセルカバーは,初期設定した遮音構造に対し,静粛性目標を達成した上でコスト・重量低減可能な遮音構造への最適化を行った。具体的にはエンジンの各Fig.16の拡張メタファイル形式経路から伝達される部分音圧に対し目標値を定め,どの経路もほぼ同等になるように遮音構造を選定した。Fig. 17に遮音機能を強化して部分音圧を改善した部位と部分音圧を増して最適化した部位を示す。Fig. 17 Optimization of Capsule CoverFig. 13 Friction and Engine Oil ImprovementFig. 14 Engine Coolant Control SystemFig. 15 Cylinder Liner Wall TemperatureFig. 16 Diagram of Capsule Cover創り熱材付のWJS(Water-jacket spacer)を採用し,更にシリンダーライダライナーから冷却水を介した熱移動を低減するために回路のエンジン出口にCSV(Coolant Switching Valve)を採用して暖機初期にはブロック内の冷却水流れを完全に停止した。暖機中期にシリンダーライナー壁温が上昇するとオイルクーラーに冷却水を流して燃焼によって発生した熱をオイルに受け渡し,各部の摩擦損失を低減した。一方で,安定した排気性能と寒冷期の暖房性能を確保するために常時循環する経路にEGRクーラーとキャビンヒーターを設定した。WJSとCSVを採用したHi-power仕様ではFig. 15に示すようにWLTCモード平均でシリンダーライナー壁温を約10℃上昇することができた。 エンジン音については新型では吸気音強調技術を採用した。トルク変化に対して音源の感度が最も高いのは,Fig. 18に示すように吸気音である。そこでアクセル踏み込み時に積極的に吸気音を運転者に聞かせて新型エンジンの力強いトルクを感じさせるためにスポーツカーで実績のあるISE (Induction Sound Enhancer) を採用した。Fig. 19にその外観を示す。強調する音の周波数は直列6気筒の構造がもつ回転にリニアできめ細やかな音の300~500Hzに対して力強く心地よい音となる250Hzに設定した。

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