マツダ技報 2022 No.39
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小林 徹 皆本 洋 髙橋 康太朗 五丹 宏明 久米 章友(1) 志茂ほか:新世代3.3L クリーンディーゼルエンジンの開発(第1 報),自技会秋季大会予稿集(2022)(2) 中本ほか:新型ディーゼルエンジンのアイドルス―42―5. おわりにFig. 16 Torque Control Image at Re-Start during Vehicle Travel参考文献髙木 健太郎 松尾 建 大地 晴樹 錦織 大悟 を実現した。 Fig. 16に示すようにエンジン始動時は,No.2クラッチをコントロールして駆動力変化を抑えつつ,必要最低限の走行エネルギーを始動に活用し,油圧制御性を高めたNo.1クラッチを高応答のモータートルクに最速で同期させながら,迅速に始動に必要な伝達トルクへの掛け替えを行う。更にはディーゼルならではの噴射量によるダイレクトなエンジントルクコントロールを合わせて行うことにより,始動応答と締結ショック抑制を両立させた。この際,主に回転を共通のターゲットとし,エンジン,モーター,クラッチの3者の協調制御を行っている。始動後はスムースに駆動へつなげるべく,燃焼を開始したエンジントルクとモータートルクの掛け替えを行いつつ,No.2クラッチも同期させて駆動力の連続性を確保している。特に,非駆動から駆動に遷移する再始動を実施する場合は,駆動系のガタをまたぐトルク伝達の非線形特性も考慮したコントロールも加えて実施している。また停車時同様に,操作に応じて各種トルクの高さと傾きを適切に変えることにより,アクセル操作に応じた応答性とショックのない再始動を両立させている。 新型CX60のM Hybrid Boostでは,新型SKYAKTIVD 3.3との組合せにより,同クラスのストロングハイブリッド並み燃費である21.1km/Lを実現した。また,操作に応じたモーターやトランスミッションとの協調制御により,意のままの走りを進化させた。今後も内燃機関のさらなる効率改善を進めながら,電気デバイスとの協調技術を進化させ,マルチソリューションによるカーボンニュートラル社会の実現に向けて,マツダ独自の価値である「走る歓び」をとおして貢献していく。トップ技術,第22回内燃機関シンポジウム,No.71(2011)(3) 朝倉ほか:新型8速 自動変速機の紹介,マツダ技報,No.39,pp.57-61(2022)■著 者■杉本 浩一山川 裕貴齊藤 忠志中上 信宏

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