マツダ技報 2022 No.39
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mEmetI noisrepsiD に対して適切な加速度応答が求められる。このため,エ ンジンユニットはアクセルに応じたリニアなトルク応答 を返す必要がある。この要求に対して,選定した排気量 3.3L+電駆システムの性能検証をFig. 8の高速MILS環境 を用いて実施した。Fig. 14にその結果の一例を示す。加 速度とその微分値である躍度を走りの指標として整理し ている。アクセルの操作としては踏み込み量と速度をパ ラメーターとし,環境条件や製造ばらつきで最も悪影響 を受ける条件も評価している。図のように,アクセル操 作に対して,特異な点は認められず,アクセル操作量に 対してリニアな応答が確認できる。 Fig. 14 Robust Study Results for Acceleration Performance 0012①③②④00000 2100000④③①[]s LLLLmk/gm snoissi■Upper Limit■Lower Limit―48― -5- +‐‐ Air Flow SensorInjection QuantityInjection TimingInjection PressureLAFSBoost SensorCompressorTurbineEGR Valve (HP)EGR Valve (LP)O2 Learning ControlIntake Temp. SensorInjector Spread AngleInjector Twisting AngleInjectorElevationRunning ResistanceDriving OperationNoble Metal Amount AAcccceelleerraattiioonnAAcccceelleerraattiioonn20%New 3.3LEEnnggiinnee TToorrqquueeEEnnggiinnee TToorrqquuee0.5①①Initial Jark [m/s3]Step-inSpeedStep-inQuantity③③Boost Jark [m/s3]OO22 @@iinnttaakkeeMMoottoorr TToorrqquuee1.5②②Initial Acc. [m/s2]④④Acc. Reached [m/s2]10℃20010℃200entcement cement x & Fuel 3.3Lでの果を示す。めの十分加速度のとの協調ことが確燃費,エTargetAcceleration [m/s2]Accelerator Position [%]Acceleration [m/s2]20406080100120SteppingStart20406080100120Step-in QuantityRegulation ValueTargetFig. 12 Performance Feel Study Results 3.2 大排気量コンセプトのロバスト性検証 エミッション性能は環境や走り方に応じてEGRバルブや過給器などを制御して燃焼に適切な吸気ガス状態を作り出Fig. 12 Acceleration Performance Study ResultsFig. 12 Acceleration Performance Study Results すとともに,緻密な噴射コントロールによって実現される。 これに関わるハードデバイスには製造バラツキや使用によ は当然のごとくエミッション性能に影響するが,どのよる劣化が存在し,一方で先述のように市場においては多様 うな状況下であってもクリーンなエミッション性能が担な環境,走り方が存在する。これらの要素は当然のごとく 保できていることが要求される。そこで,Fig. 8に示しエミッション性能に影響するが,どのような状況下であっ た高速MILS環境を用いてエミッション性能のロバストてもクリーンなエミッション性能が担保できていることが 性検証を実施した。結果をFig. 13に示す。図下段に示す要求される。そこで,Fig. 8に示した高速MILS環境を用い ように,EGRバルブや過給器,インジェクターなどの製てエミッション性能のロバスト性検証を実施した。結果を 造バラツキの上下限での評価や,エミッションに対してFig. 13に示す。図下段に示すように,EGRバルブや過給器,② 最も厳しいと想定される環境,ドライバー操作での評価インジェクタ―などの製造バラツキの上下限での評価や, を実施している。このような評価は,バラツキによるエミッションに対して最も厳しいと想定される環境,ドラ ハードの特性変化や,環境条件違いによる影響を正しくイバー操作での評価を実施している。このような評価は,Fig. 14 Robust Study Results for Acceleration Performance モデル上で表現することが肝要であるが,評価に用いた高速MILS環境のエンジンモデルとして,物理式ベースのモ 高速MILS環境は物理式ベースのエンジンモデルを採用デルを採用することで,バラツキによるハードの特性変化や,環境条件違いによる影響を正しくモデル上で表現できすることで,それを可能としている。評価結果として,図るために可能となっている。評価結果として,図上段に示上段に示すように,あらゆるバラツキを加味しても,どすように,あらゆるバラツキを加味しても,どのエミッシのエミッション値も規制値以下となることが確認できた。ョン値も規制値以下となることが確認できた。 Fig. 13 Robust Study Results for EmissionsFig. 13 Robust Study Results for Emissions New 3.3L + MotorNew 3.3LPrevious 2.2L1m/s2100Nm10%Time[sec]Step-inSpeed0.1sec1.0 sec2.0 sec2040608010012020406080100120Step-in QuantityFewEGRManyAccelerator Position [%]Step-inSpeedWater Temperature (Low Temp. Circuit) [℃]2.5Acceleration [m/s2]SteppingStartAmbient:37℃Altitude:1300mAccelerator Opening [%]Acceleration [m/s2]Vehicle Speed [km/h]Torque [Nm]Engine Torque [Nm]EGR Ratio [%]Coolin Fan Speed [rpm]Water Temperature (High Temp. Circuit) [℃]AT Fluid Temperature [℃]COFig. 12 Acceleration Performance Study Results Fig. 14 Robust Study Results for Acceleration Fig. 16 Protection Control during Accelerator Fully Open  以上のような性能のロバスト性検証は,従来は全て実 車を用いて行っていたが,上記のように1Dモデル環境を活用して実車ではポイントを絞った確認のみとするこ とで,試作車両台数と評価期間の短縮に貢献した。3.3 ENG,電駆へのLTサーマル機能の最適配分検討 ここではWLTPにおける冷却システムに関連した機能開発事例を紹介する。前述のとおり新世代クリーンディーゼルエンジンの冷却システムに対してはエンジン燃焼や電駆部品の効率を最適化するための冷却水温度制御が求められており,制御デバイスとしてウォーターポンプ,CSV,グリルシャッターが存在する。ウォーターポンプ,CSVは要求された冷却水温度を実現するための冷却水流量,グリルシャッターはフロントエンドにおける必要熱交換を実現するための熱交換器通過風量を制御しているが,消費電力の増加や空気抵抗の悪化といった燃費悪化因子も持ち合わせおり,背反性能を考慮した協調的な制御が重要となる。そこでエンジン吸排気モデル,サーマルモデル,に加えてウォーターポンプ,CSV,グリルシャッターに関連する部分を抽出した制御モデルを連携させた「つながる1Dモデル」を活用し,エンジン燃焼や電駆部品から要求された低水温回路の冷却水温度を実現した上で,消費電力や空気抵抗悪化が最小となる制御デバイスの動かし方の机上検討を試みた。Fig. 15に検討結果を示す。低水温回路の冷却水温度をエンジン燃焼や電駆部品の効率に加えて,エンジンから発生する凝TargetPrevious 2.2Lin High Air Temperature Environment 20%20min10minTime[sec]Protection Control (Engine Torque Suppression)Protection Control (Engine Torque Suppression)Protection Control (Engine Torque Suppression)100012001400400600800Time [sec]Performance1.50.5①①Initial Jark [m/s3]Step-inSpeed0.1secStep-inQuantity1.0 sec2.0 sec20406080100120③③Boost Jark [m/s3]20406080100120Step-in QuantityEngineMotorNew 3.3L + MotorNew 3.3LAmbient Temp.::25℃℃,,Grade::0%Ambient Temp.::40℃℃,,Grade::0%Ambient Temp.::50℃℃,,Grade::0%Ambient Temp.::40℃℃,,Grade::5%No.39(2022) 1m/s240min30min100Nm10%Durability Limit10℃Durability Limit10℃Durability Limit1600220024002.5②②Initial Acc. [m/s2]Ambient:37℃Altitude:1300m20406080100120④④Acc. Reached [m/s2]20406080100120Step-in Quantity18002000Vehicle SEngine ToCoolin FWater TeWater TeAT Fluid w/o Motor AssistAccelerator Opening [%]Torque [Nm]EGR Ratio [%]HCFrequencyDispersion [%]Previous2.2LEngineMotorNOxFrequencyFrequencyDispersion [%]Dispersion [%]ミッション,走りの各性能のバランスを検討し,その結果を元にエンジン排気量として3.3Lを選定した。 with Motor Assist Fig. 16 マツダ技報 マツダ技報  次に走りのロバスト性の検証事例について紹介する。マツダは「意のままの走り」を提供することに価値を置いているが,その実現のためにはあらゆるアクセル操作

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