マツダ技報 2022 No.39
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(2)緻密な駆動力制御 モーターの応答の良さとアクセルペダル操作精度の向上により緻密な駆動力コントロールを実現し,操作に対する車両挙動の一致性を高めている(Fig. 10)。―55―3.2 最適な走行モードの選択 CX60 PHEVでは,Mazda intelligent Drive Select(Mi-Drive)にNORMAL/EV/SPORTの走行モードを設定している。EV走行とHEV走行を両立したいお客様にはNORMALモード,日常でのEV走行を最大限活用されるお客様にはEVモード,エンジンとモーターの動力性能を最大限楽しみたいお客様にはSPORTモードを選択していただくことで,それぞれの楽しさを提供できるよう工夫した。 NORMALモードでは,アクセル操作に応じてリニアにトルクがつながるようにEV走行とHEV走行を切り替えて走行を行う。EVモードではバッテリーに十分電力がある際,アクセルを全開にしない限りEV走行を続け,市街地や郊外などの一般的な走行シーンにおいて,お客様に電動走行を提供できる。これにより,平日の通勤や買い物等の近距離の使用において,電気自動車としての使用が可能となる。また,EVモード選択時には,モーターからタイヤまでの全体効率最適点を計算したシフトパターンを設定し電費の向上に貢献している。SPORTモードは自己主体感を高めることを目標に,ドライバーがアクセル操作で車を正確にコントロールする感覚を得るため,加減速の応答の速さや強さを高めている。また,NORMALモードに対し,低速ギヤを使うことに加えて電動モーターアシスト量を増やすことで駆動力を高め,大トルクを思いどおりにコントロールするアクセル操作性を実現している(Fig. 13)。Fig. 10 Acceleration and Jerka. モーター応答性 PHEVでは,モーターの応答性の良さを活かしてアクセル操作に対する加速度の立ち上がり応答時間をエンジンのみの場合の150msに対し90msまで短縮している。これにより緻密なコントロールの領域を拡大している(Fig. 11)。Fig. 11 Accelerationb. アクセルペダル操作精度の向上 アクセルペダル操作精度の向上を実現するため,歩行運動に着目し,主動筋(ふくらはぎの筋肉)による自然で滑らかな操作ができるペダルの踏力特性を目指した。CX60では踏み始めから主動筋のみによる操作を実現している(Fig. 12)。Fig. 12 Accelerator Pedal FS TargetFig. 13 Accelerator Pedal FS Target

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