マツダ技報 2022 No.39
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―63―Fig. 1 CX60 AWD System2. AWDシステム2.1 パッケージング マツダが目指す「人馬一体」において,重要な項目の一つが「理想のドライビングポジションの提供」である。特に縦置きエンジンであるCX60においては,AWDシステムを含む駆動系部品を小型化し,センタートンネルの車室内への張り出しを最小化することで,足元付近のスペースを最大化することがポイントであり,これを最重要項目として開発した(Fig. 2)。Fig. 2 CX60 Driving PositionFig. 3 Centerdistance vs Weight of Di■erent PowertrainsFig. 5 Sectional View of Transmission and Propeller Fig. 4 Comparison of FDU StructureShaftFig. 6 CX60 front Drivetrain まず,主駆動軸から駆動力を分岐する「トランスファーユニット」(T/F)について,ねらいの軸間距離で最も軽量・高効率化が可能な2軸ギヤ式を選択した(Fig. 3)。 また,「フロントデファレンシャルユニット」(FDU)については,ユニットベアリングを採用し軸受け部を小型化することで,ユニットの前後長及びエンジンからのオフセット量を最小化した(Fig. 4)。更に,T/FとFDUでそれぞれ減速比を設定して2段減速とすることで,プロペラシャフトの最高回転を下げ,軸径を最小化した。加えて,別述の新開発内製8速ATユニット内部の機能部品(バルブボディー,電動オイルポンプなど)をユニット開発当初から,プロペラシャフトのレイアウトを考慮した構造とすることにより,軽量・コンパクトなレイアウトを実現した(Fig. 5,6)。 これらT/F,プロペラシャフト,FDU,ATは元より,車両構造を含めた一括開発により,縦置きエンジン車においてネックとなるセンタートンネルの車室内への張り出しを最小限に留め,「理想のドライビングポジション」の実現に貢献した。

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