マツダ技報 2022 No.39
89/275

)esioN ]s/[noitareleccAnoitareleccA ydoB ydoB cimanydoreA∝ yticitroV(b)制御コンセプトの定量化 デザインとの共創活動を円滑に推進にするため,風をドアミラー後端で揃えるという制御コンセプトの定量目標を設定した。定量化には,ドアミラー後端部での流速の標準偏差を「等速度指標」として用いた(Fig. 5)。また,流速が揃っていない箇所を見える化(Fig. 6)することで,改善すべき箇所及びその方向性を容易に共有でき,効率的に目標達成形状を実現した。―80―(3. サウンドBefore Improvement After Improvement Fig. 4 Vorticity Distribution behind Door Mirror in Target Constant Velocity Index Fig. 5 Relationship between Constant Velocity Index and Aerodynamic NoiseWind Velocity Low Fig. 6 Wind Velocity Distribution behind Door Mirror(3)低周波NVH性能実現構想 CX60は,さまざまな道で安心感のある力強い走りを実現するため,エンジンの大トルク化,高応答化を実現するためにトルコンレスが採用され,車体への振動入力が大幅に増加することが想定され,振動性能目標実現に対して大きな課題があった。 この課題に対して,既存システム共振を活用した振動打ち消しコンセプトにより,新たな付加物を追加せず,効率的に車体入力低減させた。エンジンマウントシステムに対しては,液封マウントの流体をダイナミックダンパーのマスとして活用することで減衰効果を最大化させた(Fig. 7)。Vorticity Magnitude Low High Position of Section A-A Section AANeed for Improve HighA A Fig. 7 Liquid Engine Mount CharacteristicFig. 8 Elastic Axis Decoupling in RDU (Rear Di■erential Unit) and Rr Suscross (Rear Sus Crossmember) System3.1 加速時の高揚感を感じるPTサウンド(1)コンセプト PTサウンドは,マツダの考える意のままの走りに欠かせない要素として,研究開発を行っている。近年では,人が道具を自在に扱えるメカニズムを研究し,意のままの運転とPTサウンドとの関係を解明してきた。具体的にはスモール商品群において,ドライバーが直接扱うトルクの大きさを音で伝えることで運転操作の精度が向上し,PTサウンドが意のままの走りにつながっていることを証明した(1)。 CX60では,ガソリンエンジン,ディーゼルエンジン,プラグインハイブリッド(以下,PHEV)とさまざまなパワートレインが存在する。どのパワートレインにおいても,スモール商品群で培った意のままの走りをサポートするPTサウンドの特性は保った上で高揚感を呼び起こし,運転の楽しさを感じるPTサウンド特性を造り込み,走る歓びの1ランクアップを狙った。(2)PTサウンドの指標化 ドライバーが直接扱うトルクの大きさを,PTサウンドの変化で伝える。そのための指標は,トルクに対する音の大きさの変化と定め,CX60もこの範囲に設定した(Fig. 9)。Frequency (Hz) リアサスペンションシステムに対しては,フルマルチリンクにデフユニット搭載のシステムを活用し,駆動系入力に対して,マウント特性で弾性主軸位置を制御し振動打ち消す設計として,車体入力を低減させた(Fig. 8)。

元のページ  ../index.html#89

このブックを見る