マツダ技報 2022 No.39
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zx(1)タイヤハウスから吹き出す渦 タイヤハウスから吹き出す風流れの模式図をFig. 17に示す。タイヤ正面に入射した風(Fig. 17(a)①)が,タイヤハウス内で上方に向けて巻き上がり,バンパー側部の主流と合流するため,渦が発生する(Fig. 17(a)②)。この渦を抑制するためにはタイヤ正面から巻き上がる風速を下げつつ,タイヤハウスから吹き出す風とバンパー側部の風を風向差なく合流させることが重要である。そのため,タイヤデフレクター(Fig. 17(b)③)の面角度・高さでタイヤ正面からタイヤハウス内の上方に向かう風を制御し,タイヤハウスから吹き出す風の向きを真っ直ぐにした。また,フェンダーアーチモールの断面形状でバンパー側部を通る風の向きも真っ直ぐにした(Fig. 17(c)④)。これらにより風向差を制御した。―87― (a) Tire house parts       (b) WheelFig. 19 Tire House Parts and Wheel(3)タイヤ下部の外側で発生する渦 タイヤ下部の外側の流れをFig. 20に示す。バンパー下部を通過した風(Fig. 20①)が,タイヤ正面に対し内側から斜めに入射する。これによりタイヤ側部に向かう風速が大きくなり,タイヤショルダ部で風が追従しきれず,渦が発生する(4)(Fig. 20②)。yxzxzzxyy②Bumper under flow①Engine roomflow②Tire house outside flow①Deflector under flow③Tire Deflector③Bumper outside flow④Wheel outside flow④Fender Arch MoldingFig. 16 Streamline around Front Tire(a) Streamline and Tire House VortexFig. 17 Flow Image around Tire House and Parts(2)ホイールから吹き出す渦Fig. 17 ホイール周りの風流れの模式図をFig. 18に示す。エンジンルームからホイールに向かう風(Fig. 18①),バンパー下部からタイヤデフレクター内側を通った風がホイール内に入る風(Fig. 18②),それらの風がバンパー側部の主流(Fig. 18③)と合流する際に渦が発生する(Fig. 18④)。Fig. 18 Streamline and Tire Side Vortex(b) Tire Deflector(c) Fender Arch moleFig. 20 Streamline and Tire Outside VortexFig. 21 Streamline and Tire DeflectorFig. 18 ホイール内に入る風は,タイヤハウス内から出てゆく風の速度と向きによって決まるため,この制御が渦の低減に重要である。タイヤハウス内から出る風速と風向は,エンジンルームとタイヤハウスの空隙を閉塞しているスプラッシュシールドの開口面積を縮小することで制御した(Fig. 19(a)①)。バンパー下部からタイヤデフレクター内側を通る風は,ダクト(Fig. 19(a)②)を通ってエンジンルームから吹き出す風によって向きをまっすぐにし,ホイール内に向かう風を抑制した。ホイール内の風は,ホイール外周の形状(Fig. 19(b)③)を用いて,バンパー側部の主流との風向差を制御した。 タイヤショルダ部で風を沿わせるためには,タイヤ正面向かって真っ直ぐ風を入射し,タイヤ側部に向かう風向を真っ直ぐにすることが重要である。そこで,タイヤに沿わせるためにタイヤデフレクター形状(Fig. 21)で風を真っ直ぐに入射させ,タイヤ下部の外側の風向を制御した。

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