マツダ技報 2022 No.39
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2)床下は平滑化する。3)渦が発生しても真っ直ぐ流す。 特に,3)渦が発生しても真っ直ぐ流す要件については,3.2節のFig. 8(b)で述べたエッジ部で生じる渦による巻き込み抑制の現象を応用した。具体的には,マッドガード後端部の凹凸(Fig. 23(a)①)で渦を発生させ(Fig. 23(b)③),タイヤ内側を通った風を真っ直ぐにする。そしてフロアカバー外端部の側面から下面に巻き込む際にエッジ部(Fig. 23(a)②)で渦(Fig. 23(b)④)を活用し,床下からボディーサイドに向かう風を真っ直ぐ流した(Fig. 23(b)⑤)。―88―4.3 床下での運動エネルギー損失の低減技術 床下の流れをFig. 22に示す。エンジンルームからフロントタイヤ後方や床下に吹き出す風による混合渦が発生する(Fig. 22①)。これらの渦によって床下で風が曲げられ,ボディーサイドに吹き出す(Fig. 22②)。その風がリアタイヤに斜めに当たることで,リアタイヤ周りの混合渦を強める(Fig. 22③)。Fig. 22 Flow Image around Under Floor(a) Under Floor pats (b) Streamline and VorticityFig. 23 Flow Image at behind the Front Wheel4.4 後流部の風流れ 以上,車両後端に至るまでの個別箇所において適用したコンセプトと風流れ制御技術により,上面・側面・下面のそれぞれの面でねらった風向を実現でき,前モデル(a) Previous MODEL      (b) CX60Fig. 24 Flow Angle Distribution at Rear EndFig. 25 Flow Angle and Kinetic Energy5. CX60の空力開発への適用5.1 後流渦を制御する技術の車両への適用 4章で確立した風流れの制御技術を基に,CFDをベースとした開発によって魂動デザインと高次元で両立させつつ,車両周り全体で風流れの運動エネルギー損失を低減させる構造をCX60に織り込んだ(Fig. 26)。5.2 最終性能の実機検証 シュツットガルド工科大学のFKFS風洞にて,最終性能確認車両を用いて,車両後端部の風向及び風流れの運動エネルギーを計測し,CFDと比較検証した(Fig. 27,Fig. 26 Aerodynamic Parts of CX60 リアタイヤに真っ直ぐ風を当てて混合渦を改善するために,以降の3点を要件化した。1)エンジンルームからホイールハウスの内側に吹き出す風向をタイヤ周りの主流の風向に合わせて速度差を小さくする。比でCd値を約12%低減する技術を確立した(Fig. 24,25)。

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