マツダ技報2023
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,f, , 4)は予測モデルを実車に搭載する際の方針である。学習領域内での予測精度は基本的にNNが最も優れているため,走行時に学習領域外のデータが入力された場合のみ,予測モデルをNNから3)で構築した重回帰式に切り替え,外挿の信頼性を担保する。 本研究では,高地における性能変化が大きいTC回転数の予測に対して,以上の手法による大気圧に対する外挿対策を適用する。大気圧は高度上昇に対して指数関数的に減少していく法則があり,特に本研究で使用するデータの範囲内では線形に近い形で減少していくため,3)で言及した法則の前提をみたしている。3.2 TC回転数の外挿対策(1)高精度予測が可能なNNモデルの学習 まずNNモデルとして,1層10ユニットのLSTMに,出力層として1ユニットの全結合層を加えたものを用意した。入力パラメーターはTC回転数に物理的に関与するであろうものを(1)式のように12個選んだ。(1) ここでMairは新気流量,Patmは大気圧,Pinはインマニ圧力,Pexはタービン前圧力,Ticはインタークーラー後ガス温度,Tbicはインタークーラー前ガス温度,Texはタービン前ガス温度,Twはエンジン水温,LtcはVGタービンのベーン開度,Qfuelは燃料噴射量,Mfはインマニガス流量,Oexは排気酸素濃度である。 学習には標高0m,1000m,1500m,2000m,2500m,3000mに相当する大気圧下の開発車両走行データを使用した。データのサンプリングレートは0.1秒とし,NN学習時に使用するデータのタイムステップ数は100とした。全学習データ点の合計個数は約13万点だった。Fig. 9にモデルの模式図を示す。,, 1)では実車走行で種々の物理センサーから得られたデータ及び2章で構築したNNモデル構造と入力パラメーターを活用しNNに学習させる。 2)では予測に対する寄与度の小さい入力パラメーターを削除する,特徴量選択を実施する。機械学習における特徴量選択の主な効用には,ノイズの削減,過学習の防止,計算量の削減,モデルの解釈可能性の向上などがある。特徴量選択の手法はさまざまなものがあるが,今回は既に精度よく予測できるNNがあるので,SHAP(6)とデータの相関,分布を使って,NNから高精度予測に必要な入力パラメーターを絞り込む。ここでSHAPとは機械学習モデルを局所的に線形モデルで近似することで,各入力パラメーターの予測への寄与度をデータごとに定量化するツールである。 3)では2)で絞り込んだ入力パラメーターを使ってロバストな予測数式を重回帰により立式する。そのような数式は前提をみたせば外挿でも精度を確保できる。そのアイディアをFig. 8の模式図で説明する。Fig. 8ではNNの学習領域内のデータは,sin関数のような数式で近似できる。このとき数式は学習領域内のデータの法則を表現している。この法則が学習領域外でも成り立つ前提がみたされていれば,NN予測の信頼性が失われる学習領域外のデータに対しても,点線のような信頼できる予測結果を出力できる。 Fig. 10に標高0mにおけるTC回転数の予測結果を示す。横軸が時間,縦軸がTC回転数で,黒い実線がTC回転数の実測値,赤い点線がNNモデルによるTC回転数の予測値を表す。学習領域内であれば高い予測精度であることが分かる。―101―x ̂(MP,TexwtcFig. 9 Schematic Diagram of the Modelair,Tex,exfuel,Tbicatmin)LQMO,PPTic,NNの学習時に市場で想定される極冷間や高地といった環境条件下で収集したデータを使用して,可能な限り広い範囲のデータを学習領域内に含めるという方法はあるが,データ収集に莫大な工数とコストがかかる上,全ての条件下で内挿とするのは困難である。そこでNNの外挿を補間するために,以下の手順をとる。1)高精度予測が可能なNNモデルの学習2)NNの寄与度分析による入力パラメーター絞り込み3)絞り込み入力パラメーターによる重回帰予測4)学習領域外での重回帰予測への切り替えFig. 8 Schematic Diagram of a Prediction

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