)tc (2)NNの寄与度分析による入力パラメーター絞り込み 次に重回帰式を立式するために,入力パラメーターの絞り込みを行った。まず学習したNNモデルに対してSHAPによる寄与度分析を適用した。先述したようにSHAPは各入力パラメーターの予測への寄与度をデータごとに定量化するツールであり,今回のような入力パラメーターの絞り込みにも適用可能である。Fig. 11に標高0m相当の大気圧下におけるデータにSHAPを適用した結果を示す。(3)絞り込み入力パラメーターによる重回帰予測 以下の解析にはPythonの機械学習ライブラリであるscikit-learnを使用した。標高0m~2000mのデータを学習に使い,2500m~3000mのデータを大気圧の外挿検証に用いた。絞り込んだ(2)式の4個のパラメーターを入力とし,TC回転数を予測する重回帰モデルを作成した。具体的にはL2正則化を含むリッジ回帰モデルを採用―102―,,4 Inputs,PPOLexx ̂(Fig. 12 TC Prediction Results from the NN Model with atmexFig. 10 TC Prediction Results from the NN Model with Fig. 11 SHAP Summary Plot under 0m Atmosphere 12 InputsPressure 図は各タイムステップの各入力(図中の1点が1つのデータに対応する)が,TC回転数予測に与える寄与を表している。例えばタービン前圧力Pexの行では,赤いplotが図の横軸SHAP valueが1万から2万の間に分布しているのが見てとれる。これはタービン前圧力が大きいときに,TC回転数の予測が平均値より1万から2万回転程度上昇することを意味する。実際に今回解析したエンジンでのタービン前圧力とTC回転数の間には強い正の相関があるので,NNは入力パラメーターを正しく考慮して予測を行っていると解釈できる。 ただしSHAPの結果はモデルの入力パラメーター間の相関に強い影響を受ける。これは線形回帰モデルが多重共線性に強い影響を受けるのと同様であり,個々のパラメーターが独立でない場合,SHAPの出力をそのままモデルの予測に対する寄与度と解釈することはできない。したがって実際にはデータの入力パラメーターと出力パラメーターの分布や,パラメーター間の相関関係に注意してSHAPの結果を解釈する必要がある。 例えばFig. 11では新気流量Mairの寄与度が大きいが,Mairはタービン前圧力Pexと強い相関をもち,かつTC回転数に対するデータ分布の形状はPexの方が素性がよいため,Mairは入力パラメーターから削除できる。 以上のようなSHAP,相関,データ分布を合わせた解析により,TC回転数予測に最も寄与するパラメーターを以下の4つに絞り込んだ。(2) 実際にこれらのパラメーターを入力として3.2(1)と同様の構成のNNモデルを学習させ,Fig. 10と全く同じ学習領域内のデータのTC回転数を予測した結果をFig. 12に示す。4個のパラメーターによって高い精度で予測できている。
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