マツダ技報2023
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(4)安心・安全の進化 マツダは,走る歓びの実現は確かな安全の上に成立すると考えている。危険な状況に陥ってから対処するのではなく,危険自体を回避する。それが,マツダの安全思想,“MAZDA PROACTIVE SAFETY”である。CX90では,関節に負荷をかけにくく,適切な筋力で操作できるステアリング及びペダルレイアウト,電動チルト&テレスコピック(※グレードにより異なる),不快な横揺れを大幅に低減し頭部を安定させるシート設計,車両の視認不可エリアを減らし車両感覚をより掴みやすくした視界性能に加え,最適なドライビングポジションを自動で設定・再現できるドライバー・パーソナライゼーション・システムにより,ドライバーに最適な運転環境を簡単に実現しやすいように開発してきた。シースルービューでは,360°ビュー・モニターの機能を一層進化させ,進行方向の先と進行方向側のタイヤの周辺の状況をモニター上の大きな表示でしっかりと確認できるようにつくりあげた。大きな車を扱うお客様に対し,直感的な画像によりしっかり安全確認を行い,少しでも心を楽に,より安心して車を運転していただきたい。そんな想いからシースルービューを開発した。3.2 KV#2 情緒価値を富裕層に響くレベルまでスト マツダは,“走る歓び”を通して心と体を活性化させたいと願っている。より大きなパワーのクルマでも自在に操る感覚を味わうことができ,これまでに味わったことのない心昂ぶる感情を存分に愉しんでもらいたい。そのために,人間のもつ普遍的能力を更に引き出せるよう車両全体を進化させた。―4―Fig. 1 Towing Capacity3.1 KV#1 新世代ファミリーカーとしての資質大幅 毎日のドライブから週末のロングトリップまで,クルマによって家族との体験の幅が広がり,思い出が増える,そんな価値を提供するために,家族のための機能を追求した。(1)3列ファミリーカーとしての基本機能の確保 米国ファミリーの期待に応えるサイズ感,室内の居住性について,従来よりも大柄なお客様でもゆったりと座っていただけるよう,前席の太もも周りや2列目席の肩回りの空間を拡大した。更に,快適性の向上として,3列目乗員用の空調吹き出し口を標準設定することで,乗車空間の改善と合わせ,3列目の乗員に対する快適性の向上を目指した。次に,市場から要望の声が大きかった3列目に3座仕様“8人乗車設定”を用意したことも大きなハイライトの一つである。通学やアフタースクール活動への子供の送迎,コミュニティ活動などファミリー用途としての多人数乗車ニーズに応える。他にも,全列USBポートの設定,乗車人数分のカップホルダー設定など,3列ミッドサイズSUVとしての基本機能を備えた。(2)日常の足としての使いやすさ 都会の喧騒を離れ休日には郊外で家族や大事なペットとゆっくり過ごしたい。そんな思いをしっかり叶えるCX90。郊外までのハイウェイの移動もストレスを感じにくく,より安心快適に,またハイウェイを降り,目的地の別荘やグランピングの場所までの山道や荒れた路面でもより安心して走行できる「あなたの頼れるSUV」になるために,CX60から展開しているハイパフォーマンスi-ACTIV AWDをCX90でも採用した。日常のさまざまなシーンにおいて,信頼できる安心・安全の走破性に加え,ドライバーが高速・高Gの領域に至るまで意のままに操れる自然な車両挙動が,より高いレベルの走る歓びを提供する。(3)アクティブなファミリーのライフスタイルに応える アウトドアアクティビティの多様なニーズに応えるため,トーイングキャパシティを5000lbsまで引き上げた。(※ガソリンターボのみ)それに伴い,トレーラースタビリテイ―コントロール(TSC)の強化も行うなど,アウトドアで活躍できる機会を拡大した(Fig. 1)。オフロー3. 商品特徴の中核の価値である。 これを実現するために,以下のKey Value(以下,KV)を定義した。 KV#1 新世代ファミリーカーとしての資質大幅向上 KV#2 情緒価値を富裕層に響くレベルまでストレッチ KV#3 PHEVでマツダの新たな世界をつくる 以下の「3.商品特徴」で,各KVの特徴を順に紹介する。向上ド走行では,スタック脱出をサポートする“オフロード・トラクション・アシスト”機能も装備しており,さまざまなオフロード路面において,自信をもって道を進むことが可能である。AC150W電源では,走行中の給電が可能であり,ノートPCや目的地で楽しむ電動バイク(e-bike)用バッテリーの充電などへの活用を可能とした。レッチ

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