―123―Key words:Spot welding, Body production development, Energy reductionTo achieve carbon neutrality, I am working on reduction of energy consumption of the bodywork process, because the ratio that the energy of the spot welding accounts for is substantial in the process. However, with increasing application of high strength materials as background, the energy of spot welding is increasing to keep welding quality stable. Therefore, I paid attention to why energy was needed from a melt process point of view to balance secure welding quality and reduction of energy consumption then clarified that it was e■ective to change the pressurization power according to the nugget formation process. This is called Multi-step force spot welding. In addition, it is developed to utilize existing facilities and introduced a mass production with less investment. In this report, I introduce the optimization of the melt process and the development of facilities to achieve the innovation.Body Production Engineering Dept.Taiga KamikawajiBody Production Dept.Naoki MoritaTomoya Mizushino1. はじめにEnergy Reduction by Multi-Step Force Spot Welding論文・解説21要 約 カーボンニュートラルの実現に向け,車体組立領域において消費エネルギーの占める割合が大きいスポット溶接のエネルギー削減を進めている。しかし高強度材料の適用拡大等を背景に,溶接品質の安定確保のためスポット溶接のエネルギーは増加傾向にある。そこで品質安定確保と消費エネルギー削減を両立させるため溶融プロセスを必要エネルギーの観点で見直し,加圧力をナゲット形成過程に合わせて変えることが有効であることを明らかにし,多段加圧スポット溶接システムを開発した。このシステムは既存設備を活用し低コストで展開が可能なシステムとして開発し,量産導入した。本稿では溶融プロセス最適化の内容と,これを実現するための設備の開発について紹介する。Abstract 世界的な平均気温上昇を抑えるため,世界共通の目標として温室効果ガスの排出量と吸収量の均衡を掲げ,日本としても2050年までにカーボンニュートラルを目指すことを宣言した。マツダはこれに対し2035年までの自社工場でのカーボンニュートラルを掲げており,車体組立領域としても消費エネルギーの削減を進めている(1)。車体組立領域の消費エネルギーの内訳のうち約25%を溶接が占め,その大半がスポット溶接であることから,スポット溶接の消費エネルギー削減が必須である。しかしボディーの軽量化に向け,材料の更なる高強度化を進めていることで,後に説明するように,スポット溶接の消費エネルギーは増加傾向にある。これまで溶接打点ごとの溶接条件改善により消費エネルギーの削減を図ってい*1,2 車体技術部 上川路 太雅*1森田 直輝*2水篠 友哉*3るが,現状の溶接システムで制御可能な溶接条件だけでは限界がある。目標達成に向けては,抜本的な工法の進化が必要である。スポット溶接については,高張力鋼板に適した通電パターンを実現する技術(2)や,加圧力を溶接中に変化せる技術(3)等,多くの研究開発が報告されている。しかしあらゆる板組全般的に消費エネルギーを低減させる技術で,かつ低コストに量産導入を実現させたシステムとしての報告は少ない。この技術開発では,量産におけるあらゆる板組の溶接条件,実態をベースに,CAEを用いて溶融メカニズムを詳細に分析したことで確立できた。またシステム開発としては,溶接タイマーメーカー,ロボットメーカーと三社で開発することで実現できた。本報告では溶融プロセスに着目し確立したスポット溶接技術と,量産で安定的にそれを実現するシステムの開発について報告する。*3 車体製造部 多段加圧スポット溶接によるエネルギー削減
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