マツダ技報2023
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 Fig. 11に示すように加圧力一定の溶接では通電面積は通電初期からなだらかに拡大しているのに対し,多段加圧スポット溶接では低加圧力時に,通電面積を小さく抑えることができていることが分かる。 2枚組と同様に加圧力によって薄肉-厚肉間,厚肉-厚肉間ともに通電面積が変化することがCAEの結果から分かる(Fig. 17,18)。―126―Fig. 10 Welding Condition of Multi-Step ForceFig. 11 Change of Conducting AreaFig. 12 Nugget after Initial Current CarryingFig. 13 Nugget of the EndFig. 14 Relationship between Electric Powers and Fig. 15 Welding Condition of Normal ForceFig. 16 Welding Condition of Multi-Step ForceFig. 17 Conducting Area of Normal Spot WeldingNugget DiameterTable 2 Sheet CombinationSheet1270MPa Thickness: 0.65mmSheet21180MPa Thickness: 2.0mmSheet31180MPa Thickness: 2.0mm また同電流値(6.5kA)において加圧力一定(5.39kN)の溶接での通電では115ms時点では溶融部は微小であるのに対し,多段加圧(初期1.96kN)での通電では4mmまでナゲット径が確保できる(Fig. 12)。 その後500ms時点では多段加圧スポット溶接の方が大きなナゲットを確保することができた(Fig. 13)。 これらより多段加圧により通電面積をコントロールすることができ,それにより溶融プロセスを変化させ,ナゲット径を拡大できることが分かった。 そこで実際にテストピースを用いて,多段加圧スポット溶接により消費エネルギーの削減が可能か実験にて確認した。Fig. 14に消費エネルギーとナゲット径の関係を示す。この結果より,同じナゲット径を確保するための消費エネルギーは多段加圧スポット溶接の方が13%以上低く,厚肉2枚組において多段加圧スポット溶接により消費エネルギーを削減できることが分かった。 次に上記を薄肉軟鋼板と厚肉高張力鋼板2枚の3枚重ねに応用した。3枚重ねの板組をTable 2に,溶接条件を(Fig. 15,16)に示す。

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