マツダ技報2023
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上川路 太雅 (1) MAZDA INTEGRATED REPORT 2022,P28(2) 安江ほか:高張力鋼板の最新スポット溶接技術,溶接学会誌,第84巻,第6号(2015)(3) 池田ほか:通電中の加圧力および溶接電流制御を活用した抵抗スポット溶接技術の開発,溶接学会論文集,第28巻,第1号(2010)(4) 松山ほか:薄鋼板及びアルミニウム合金の抵抗スポット溶接,p.7(2008)(5) 近藤:溶接・接合技術の適用,溶接学会誌,第79巻,第8号(2010)―129― 7.2 今後に向けた取り組み 今後は板組,打点状況等から多段加圧スポット溶接の最適条件を導出するための標準を確立し,円滑に多段加圧スポット溶接を量産適用できるようにする。更に溶融プロセスに着目した今回の取り組みの知見を活かし,従来の加圧力一定の溶接における消費エネルギー削減も進めていく。多段加圧スポット溶接を広く活用していきながら,この多段加圧スポット溶接をひとつの新たな手段として,溶接条件の最適化を図ることで車体組立領域の消費エネルギーを削減し,カーボンニュートラルに貢献していく。また,この多段加圧スポット溶接によってこれまで以上の板厚比,高強度材料,板組枚数の適用を可能とする知見が得られた。これにより構造の点での軽量化が見込める。設計とともにさらなるボディーの軽量化を実現し,クルマの製造,使用を含めた全体のカーボンニュートラルに貢献する。8. おわりに森田 直輝  スポット溶接の溶融プロセスに着目し,加圧力により通電面積をコントロールする多段加圧スポット溶接を開発する中で以下の成果を得た。 (1)加圧力を変化させることで通電面積が変化し得ることが分かった。溶融プロセスの中でこのコントロールを適切に行うことで溶融プロセスの最適化が図れた。 (2)板組によって効果の差はあるが,多段加圧スポット溶接によって溶接品質ロバスト性の向上と消費エネルギーの低減を両立することができた。 (3)DIO通信を使うことで高速かつ安定した通信を実現でき,加圧力と通電の同期を図りながら最小限のクールタイムとしたことでロバストな溶接品質につなげられた。 最後に本開発は川崎重工(株),(株)ナ・デックスとマツダの3社での共同開発である。川崎重工(株),(株)ナ・デックスの皆様に深くお礼申し上げます。■著 者■水篠 友哉参考文献

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