マツダ技報2023
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22Tbat~10days ①Method of ~1days SOC S②Method of (4)SSOCIF Qjoule:ジュール熱 Qpolariz:分極熱 Qentropy:エントロピー変化熱I:電流   Tbat:電池セル内部温度    ΔS:エントロピー変化 F:ファラデー定数Table 1 Identification Method of Entropy Change(3)2R22iR11R2EP1R12iR002iR00 OCV計測法(Table 1中①)は,計測作業は比較的容易ではあるが,数mV~数十mVレベルの微小な電圧挙動を計測できる環境と,計測時間を要する。特に,計測時間は,内部温度が安定していると判断できるように,十分な時間を取る必要がある。このため,計測SOCポイントが多くなると多くの装置時間が必要となる。一方,熱量計測方法(Table 1中②)では,低レートでの充放電を行うことで,エントロピー変化値のSOC依存性を連続的に計測することが可能である。結果,前者の手法に比べて,計測時間を短縮することが可能である。本取り組みでは,熱量計測方法を用いることとしたが,極低レートでの微小熱量を漏らすことなく計測する環境構築はせず,比較的低レートで計測しつつ,混入するジュール熱,分極熱を3.2.で示したモデルを用いて補正し,エントロピー変化熱を導出するハイブリッド同定を行った。 用いた計測環境をFig. 6に,エントロピー変化熱導出式を式(5)に示す。―132―EP2R2polarizjoulebatjulepolarizentropyiRentropybatQQQQ QQQ Fig. 4 Equivalent Circuit ModelFig. 5 Validation Result of Equivalent Circuit Model3.2 エントロピー変化熱 エントロピー変化熱は,リチウムイオンの挿入脱離によるエントロピー変化に伴う吸発熱であり,その熱量による温度変化の影響は,数℃程度ではあるものの,発熱のみならず,吸熱現象もあるため,傾向の再現性や,予実差数℃レベルの高精度化を行うには,無視できない。また,電池内部の構造や材料の改良により,ジュール熱,分極熱は,低減が進んでいくことが考えられるため,相MethodOCV measurementHeat MeasurementHowtoRequired Measure OCV Change when Temp changesSOC 20point SOC adjustment 1h/SOC Temp Control 10h/SOCVocvTbatSMeasure the Amount of Heat at Low Rates FIQbatTbatContinuous Heat Measurement 20h (0.05C)PrecedentstimeGeneral methodNetzsch (Coin Cell)Several research institutes (Large Cell)i0:電流 EP1:R1C1並列回路部電位iR1:R1通過電流 EP2:R2C2並列回路部電位iR2:R2通過電流ジュール熱,及び分極熱の合計熱量の算出式を式(3)に示す。等価回路中の抵抗成分,コンデンサパラメーターは,温度,SOC依存性をもっており,各条件において,電流パルスを与えた際の電圧挙動から,同定を行い,マップ化して使用している。本等価回路にて,モード走行時の電圧再現性を確認した結果をFig. 5示す。電圧変動の予実差は,最大でも8%とよく一致することを確認している。低温や,低SOC,大電流では,誤差は拡大するものの,EV常用域では,同レベルでの精度を確保することが可能である。(2)対的に,エントロピー変化熱の占める割合が大きくなることからも,考慮する必要性が高まることが考えられる。 エントロピー変化熱のSOC依存性は,式(4)に示しているように,エントロピー変化マップΔS(SOC)によって表現される。エントロピー変化ΔSの取得方法にはいくつかの報告例(7)~(10)があり,起電力の温度依存性からエントロピー変化ΔS値を導出する方法(①起電力計測法)と,低レートで充放電させて,直接熱量を計測する方法(②熱量計測方法)である。Table 1に,それぞれの概要と特徴を示す。

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