マツダ技報2023
143/203

—Without 5℃15℃25℃○———Training data○——○○—○— 1)LIBセル内部のエントロピー変化や熱容量,熱抵抗を表面温度,表面熱流値,モデルを組み合わせ,内部の詳細設計情報を得ずとも,同定できる手法を構築し,電池内部温度モデル化技術を開発した。 2)取得した内部熱特性を用いた3次元解析により,LIBセル内部の熱流れを解明し,角型セルの場合,ケースを伝わる熱流れが大きく影響していることを示した。 3)3次元解析で明らかにした主要熱流れを踏まえ縮退した1D熱等価回路にて,予実差検証を行い,車載用の大型セルで,車載を想定した温調環境においても,内部の温度挙動を高精度に推定できることを示した。 なお,本内容は,公益社団法人自動車技術会「2023年春季大会学術講演予稿集」に掲載されたものである。(1)長島富雄ら:電動車バッテリモジュール向け熱伝導シート部材の熱抵抗保証方法確立,自動車技術会2021年秋季大会学術講演会(2021)(2)松本貴郁ら:冷媒2次ループを用いたサーモサイフォン式電池冷却システムの開発,自動車技術会―135―Fig. 16 Comparison Experiment with Simulation (Ambient Temp=45℃ Cooling Water Temp=5℃)Fig. 14 Experimental Apparatus of LIB TemperatureTable 2 Condition List of Examination10℃25℃45℃○:Measured—:Not measuredAmbient temperatureFig. 15 Results of Temperature Measure5.2 予実差検証結果 5.1で述べた実験データとモデルとの予実差について,時系列で示したものを,Fig. 16に,条件ごとに集計したものをFig. 17に示す。時系列のグラフでは,発熱量を変化させていった際も,各部の温度傾向がよく再現できていることが確認できた。また,各条件一覧では,予実散布グラフで示しているように,環境温度,冷却温度が変わっても,モデル値の予実差は最大で3℃台,平均では,1℃と精度が高いことが確認できた。 なお,本パルス充放電試験でSOC変動は小さく,前述の電池エントロピー変化熱の影響は含まれていないため,モード走行などの実用状態での予実差は多少拡大すると考える。Fig. 17 Validation of LIB TemperatureCooling water temperaturecooling water6. おわりに複数の電流レートの充放電パルスを加えて,各レートにおいて温度が収束するまで計測している。Fig. 15に,計測データの一例を示す。最高環境温度と最低冷却水温度の条件で表面と内部の温度差は10℃を超え最大となった。参考文献

元のページ  ../index.html#143

このブックを見る