マツダ技報2023
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ToutTinTclTininddtddt1jin Motor Input ・Tout・ωoutLoss torque output(Lout)Fig. 5 Image Diagram of AT Internal Structure(Lin)・Tin・ωin(4) また,本計測はATの計測法として一般的ではないAT入出力モーターの同時速度制御を用いることで,クラッチの開放・締結の状態によらず,計測モーターとクラッチの速度との関係をAT内のギア比のみで決まるようにする。これにより,Fig. 4の試験パターンをクラッチ伝達トルクに依らず実現できる。 式(2)と式(4)の差を取り,ギア比を考慮することで,AT実装環境下におけるTclを取得できる。AT出力側についても同様の考えを適用することで,式(5)を得る。(5) また,Tclにクラッチの有効半径r,荷重N,ドライブプレート枚数d,ドライブプレート1枚当たりのスリップ面数:2を考慮することで,AT実装環境下におけるクラッチの μ を導出できる。(6)ddtTin(1) ここで,IATはAT全体のイナーシャ[kgm2],ωinはAT入力回転数[rad/s],jATはAT全体のギア比[-]である。 この機械要素を物理的に取り除いた計測では,クラッチの周辺環境が実際のAT実装状態から変化してしまうため,機械要素を取り除くことなく,クラッチ摩擦特性計測を実現する手法が必要である。手法構築にあたり,僅かでもクラッチに速度が生じている場合,AT内の運動方程式が式(2),(3)の2本となることに着目する。この場合,AT入出力トルクTin,ToutごとにAT入出力とクラッチ間の定常トルクLin,Lout及び慣性トルクが足し算の関係となり,以下の手法にてロストルクを補正できる。(2)(3) ここで,Iin,IoutはAT入出力とクラッチ間のイナーシャ[kgm2],ωoutはAT出力回転数[rad/s],jinとjoutはAT入出力とクラッチとのギア比[-],Tclはクラッチ伝達トルク[Nm]である。 補正対象であるロストルクのみを計測するため,クラッチ完全開放状態にて,摩擦特性計測と同パターンの計測を行う。この計測では,Tclをほぼ0と考えられるため,AT内の機械要素を取り除くことなく,ロストルク を取得可能となる。ロストルク計測時のAT入力側の運動方程式は式(2)より,式(4)となる。ddt AT入出力それぞれから推定したクラッチ伝達トルクを比較した結果の一例をFig. 7に示す。AT入力側から補正した結果(実線)とAT出力側から補正した結果(破線)の誤差は3.3%以下と十分小さく,対象とするクラッチ伝達トルクを,異なるトルク経路から計測,補正した結果が良く一致している。これは,式(5)を満たしており,本計測手法の妥当性を確認できた。Tin―139― ]m N euq roTTcl (Clutch torque) L (Steady loss) inATTinTinLinIinToutIoutLoutoutIinininLjoutToutTinAT internal image(L, IAT, jAT)Clutch Mechanical elements (Tcl) jTAToutjTinclMechanical elements Planetary gears Loss torque input IL 1 [0jToutclMotor Output Tcl2drN2.3 計測手法の妥当性確認Tin の クラッチ締結状態でのTin計測結果,ロストルク 計測結果及び推定したAT実装環境下におけるクラッチ伝達トルクTclの一例をFig. 6に示す。ロストルク Tin に着目すると,クラッチの角加速度が0である0~1秒,2~3秒の区間では,ロストルクの定常成分Lが現れている。また,定常トルクの大きさが区間ごとに異なっていることから,Lの速度依存も計測できている。 角加速度をもつ1~2秒の区間では,他区間よりも が大きくなっており,式(4)から慣性トルクが表れていることが分かる。Fig. 6 AT Input Torque and Loss Torque40302010Tin (AT input torque) T’in (Loss torque input) L 0.01.0Time [s] + Inertia loss L 2.03.0に,AT実装環境下では,計測用モーターとクラッチとは,遊星歯車やトルクコンバーター,油圧ポンプ等のさまざまな機械要素(青枠部)を介して接続されている。そのため,摩擦特性計測時には,各要素の慣性トルクや定常トルクがロストルクとなる。 ATの基本方程式は式(1)に示すとおり,AT入出力トルクTin,ToutとロストルクLが1本の式で記述されるため,クラッチ伝達トルクとロストルクの切り分けは困難であり,従来の計測ではロストルクの原因となる機械要素を物理的に取り除く他なかった。

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