マツダ技報2023
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AAsAlr[ l0rFi titcirFneciffeoc no―140― ]euqrothctuC ]-[ tneiciffeoc noitcirF ]-[ tneiciffeoc ]-[noitcirFmNAr Fig. 7 Comparing Correction Values between AT Input and AT Output2.4 AT実装環境下における動摩擦特性の計測 AT実装環境下における動摩擦特性を広い条件にて明らかにすることを目的とし,自動車に搭載された際のAT実使用領域を参考にして,計測条件の設定を行う。計測条件をTable 1に示す。 計測したクラッチ伝達トルクTclから式(6)を用いて μを導出し,その荷重・速度・摩擦面温度との関係について整理した(Fig. 8)。これにより,従来困難であったAT実装環境下における,摩擦材の μ の荷重・速度・摩擦面温度依存性を明らかにした。Table 1 Measurement ConditionsLoad [kN] Oil temperature [°C] Max relative speed [rpm] : 100, 500Fig. 8 Experimental Result of μ : 0.1, 0.3, 0.5, 1.0, 1.4: 40, 803.1 μ 推定モデルの構築方針 2章にて得たAT実装環境下での,μ の荷重・速度・摩擦面温度依存性を考慮可能な μ 推定モデルの構築を行う。モデルの構築にあたり,摩擦材の摩擦現象について,その全体像を整理し,概念図を作成する。概念図をFig. 9に示す。Fluid Force Oil Fig. 9 Conceptual Diagram of Friction Facing Surface 作成した概念図より,摩擦力はスリップ面の潤滑油に起因する流体摩擦力と,摩擦材とドリブンプレートとの接触に起因する境界摩擦力の足し合わせであると考える。流体摩擦のせん断応力sl,境界摩擦のせん断応力 τ,見かけの接触面積A,粗さ突起によるミクロスケールでの接触面積である真実接触面積Arを用いて,摩擦材の摩擦力Fは式(7)となる。(7) 式(7)より,μ 推定モデルの構築には流体摩擦力,境界摩擦力それぞれのモデルを構築し,適切に連成させる必要がある。そこで,流体・境界摩擦力共通の制御因子である摩擦対の面間距離hを連成の起点とする。具体的には,押し付け荷重と,流体・摩擦材それぞれの反力との力のつり合いから,押し付け荷重に対応するhを導出する。導出したhを用いて,流体・境界摩擦力をそれぞれ計算することで,μ の荷重依存性を考慮可能とする。 また,μ の摩擦面温度依存性を考慮するため,摩擦熱によるスリップ面周辺の温度変化をモデル内にて再現する必要がある。そこでAT実装環境下の熱等価回路を構築し,摩擦力とクラッチの速度から計算した発熱量を入力として,摩擦面温度の計算を行う。計算した摩擦面温度をhの計算と摩擦力の計算へフィードバック(F/B)させることで,摩擦状態により逐次変化する摩擦面の温度を考慮可能とする。 以上の考え方にて構築した摩擦力計算ブロックを,Fig. 10に示す。図中の各構成要素の詳細な計算方法と,その統合方法について,以降で説明する。3. μ 推定モデルの構築From AT output 15012090Load: 1.0kN 6030Load: 0.5kN Load: 0.3kN 0.00.20.180.160.140.120.10.0(B)Clutch relative speed0.20.180.160.140.120.10.00.20.180.160.140.120.140Oil temperature: 40°C 40°C, 100rpm 80°C, 100rpm ln(Clutch relative speed [rpm]) (C) Friction surface temperature 40°C, 500rpm Friction surface temperature [°C] From AT input 1.02.0Time [s] (A)Load dependence0.51.0Load [kN] 1.5dependence 2.04.06.08.0dependence 608010012080°C 40°C, 500rpm 80°C, 500rpm 80°C, 500rpm 3.0Load Driven plate Fluid Friction Friction facing Friction facing Force Boundary Friction h
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