マツダ技報2023
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―158―Key words:Materials, Aluminum alloy, Joining, Die-CastFig. 1 Aluminum Joining by FSSWIn order to clarify the applicability of friction stir spot welding method to aluminum car body frame members, the e■ect of joining parameters on strength was investigated. In A6111/ADC3 (die-cast material), it was confirmed that the larger the probe diameter is, the higher the strength is, and the shear strength stably exceeding the JIS A grade average for resistance spot welding can be obtained. From the cross-sectional observation result, it was found that it is important to appropriately control the plastic flow state, the residual thickness of the upper plate, and the actual insertion amount of the joining tool that determines them in order to obtain stable strength.Technical Research CenterKojiro TanakaHiroshima UniversitySatoko ShimadaYukihiro Sugimoto1. はじめにFriction Stir Spot Welding of Aluminum Die-Cast/Rolled Plate論文・解説26要 約 摩擦攪拌点接合のアルミニウム製車体骨格部材への適用性を明らかにするため,接合パラメーターの強度への影響を調査した。A6111/ADC3ダイカストの板組みでは,プローブ径が大きいほど強度が高く,安定的に抵抗スポット溶接JISA級平均を超えるせん断強度が得られることを確認した。断面観察の結果,安定して強度を得るためには,塑性流動状態や上板残厚,それらを決定付ける接合ツールの実挿入量を適切に管理することが重要であることが分かった。Abstract カーボンニュートラル,脱炭素社会を目指すため,自動車や航空機などの輸送機器では大幅なCO2排出削減に向けた研究開発が進められており,その中で燃費改善につながる軽量化は有効な手段である。自動車においては,質量割合が大きく車両性能の向上にもつながる車体の軽量化が重要であり,これまで筆者らは軽量車体構造を実現するための重要な要素技術の一つである点接合技術の開発を進めてきた(1)-(3)。この中でアルミニウム/鋼板やアルミニウム/熱可塑性繊維強化樹脂(FRTP)などの異種材料の接合と併せて進めているのが,車体骨格部材への適用を想定した比較的厚肉の展伸材やダイカスト板材を組合せたアルミニウム同士の接合技術の開発で ある。 アルミニウムの接合への一般的な抵抗スポット溶接の採用は,その材料特性に起因して大電流が必要であることや製造工程で重要となる生産性の確保につながる連続打点性についてなど,課題が多い。また,リベットなど*1~2  技術研究所 田中 耕二郎*1島田 聡子*2杉本 幸弘*3の副資材を使用する機械締結では重量,コスト増や接触腐食の課題もある。そこで開発されたのがアルミニウム同士の摩擦攪拌点接合(Friction stir spot welding, FSSW)であり,マツダが2003年に実用化して以降,ボンネットやドアなどのパネル部材を対象に板厚1mm程度の薄板の接合法として定着している(Fig. 1)(4),(5)。 本報では摩擦撹拌点接合のアルミニウム製車体骨格部材への適用性を明らかにするため,抵抗スポット溶接では電気抵抗や融点の違いにより健全なナゲットの形成が難しい*3  広島大学 アルミニウムダイカスト/圧延材の摩擦攪拌点接合

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